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大殺陣(1964年)

大殺陣2 池上金男脚本・工藤栄一監督による『十三人の刺客』に続く集団抗争時代劇とのこと。『十三人の刺客』は三池崇史監督による2010年のリメイク版だけしか観てないのだが、かなり面白かったという記憶はある(ほとんど残酷シーンしか覚えてないのだが)。この『大殺陣』についてネットで検索すると、なかなか辛口なレビューが多く、しかもそれらがいちいち「それはそうなんだけど・・・」というごもっともな意見で、あまり評価されていないようだ。しかし、クライマックスの五(実質四)対何十人の死闘は、もう何が何やら分からないのだけれど、『大殺陣』という看板に偽り無しの迫力あるシーンだし見ごたえがあって、私には楽しめた。ハンディーカメラを使って臨場感を感じさせる手法も当時としては斬新だったのではないか。

 神保平四郎を演じた里見浩太朗も、水戸黄門の助さんとは打って変わって、目を剥き血まみれで死闘を繰り広げ、凄惨極まる死に様を見せてくれている。昨日アップした『仇討』の中村錦之助同様、この人も今まで抱いていたイメージとは全く違っていた(アカンなあ、オレ・・・)。
 その他、子煩悩な貧乏御家人・星野友之丞(大坂志郎 )をはじめ、テロリスト一味でありながら大胆にも兄の亡骸を評定所に受け取りにいく別所隼人(河原崎長一郎)、頭のいかれたエロ坊主・日下仙之助(山本麟一)等々、一人一人にエピソードがあって物語に厚みを加えている(助七というどこから湧いてきたのか分からない人物も混じっているのだが)。
 
 平幹二朗演じるシニカルな御家人・浅利又之進も重要な役だったのだが、白状すると、最初観た時はその重要性が分からなかった。
 ラストで、殺された神保平四郎の姿を見た浅利又之進は激昂し、綱重を殺すわけだが、そのシーンがどうも取ってつけた感じで、物語の流れとして不安定な印象だった。そもそも浅利又之進はこの物語に必用だったのか? なぜ最後にああいうシーンをくっつけたのか?とさえ思っていたのだが、某サイトの解説に、この作品は安保闘争に影響を受けていると書かれてあって合点がいった。
 浅利又之進には、行動を起こさず傍観しているだけのノンポリ一般大衆が重ねられていたのではないか? 劇中、神保平四郎が浅利又之進に向かって言うセリフ「何もせんことが庶民にとってどれほど迷惑か、お主、考えたことがあるか」とは浅利又之進に対してと同時に、映画を観ている観客に投げかけられた言葉だったのかも知れない。平四郎はさらに「迷惑をかけずかけられず生きていればいい、というものではない。(俺のように)役職大事だった侍や、貴様のように世をすねて何もしなかった侍が専横の世を育てた」とも言っている。
 平四郎からそう言い放たれ、何も言い返せなかった又之進だが、最後には、衝動的にとはいえ、刀をとって綱重の一行に一人斬りかかっていく。脚本の池上金男としては、自分さえ良ければこの世なんて知ったこっちゃないと思っている庶民が立ち上がる姿をどうしても最後に入れずにいられなかったのではないか。そう考えなければ、あのラストはあまりに蛇足だ(キッパリ)。

 綱重は結局討たれたが、もちろんハッピーエンドではない。それは「正義」側が全員死んだからということもあるのだけれど、私自身の感想を言えば、死ぬのはいつも下の人間で、裏で絵を描く人間は最後まで表に出てこないことに何かやりきれないものが残ったからだ。
 若年寄・堀田正俊は証拠不十分でお咎め無し。
 首謀者・山鹿素行。こいつは「実行するのはここにいる六人だけ」と事も無げに言ってのけた男であるが、この男も遠くから事の成り行きを眺めているだけ。首謀者であることが露見したため徒では済まないかも知れないが、劇中では最後まで生きている。
 もちろん、実行犯である平四郎らは彼ら自身の意思で計画に参加したわけだけれど、兵隊は所詮ただの道具かよ?と思わざるを得ないような非情な計画には違いない。まるで神風特攻隊だ。
 池上・工藤の二人にそのつもりは無かったかも知れないが、私は大いにそれを感じてしまった。

 集団抗争時代劇と呼ばれる作品は、長谷川安人監督『十七人の忍者』に始まり工藤栄一監督によるオリジナル版『十三人の刺客』やこの『大殺陣』等何本かあるようで他の作品も観てみたいと思った。もしかしたら、この作品、オリジナル版『十三人の刺客』の焼き直しかも知れないのでそれを確認してみたくもあるし。
 
大殺陣1『大殺陣』(1964年)
監督:工藤栄一
脚本:池上金男
企画:松平乗道
撮影:古谷伸
音楽:鈴木静一
製作・配給:東映


【出演】
里見浩太朗 (神保平四郎)
大坂志郎 (星野友之丞)
山本麟一 (日下仙之助)
河原崎長一郎 (別所隼人)
稲葉義男 (渡海八兵衛)
砂塚秀夫 (助七)
平幹二朗 (浅利又之進)
成瀬昌彦 (岡部源十郎)
安部徹 (山鹿素行)
宗方奈美 (山鹿みや)
大木実 (北条氏長)
大友柳太朗 (酒井忠清)
可知靖之 (徳川綱重)
原田甲子郎 (堀田正俊)
加賀邦男 (林甚兵衛)
三島ゆり子 (神保加代)
尾形伸之介 (中島外記)
春日俊二 (小出治兵衛)
堀正夫 (新見但馬守)
園佳也子 (立田川)
赤木春恵 (星野たよ)

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【関連商品】 『仇討』同様、DVD化されておりません。東映さん、是非お願いします!!




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作品や監督、俳優等について深い知識は持ち合わせておりません。ハッキリ言えばニワカですので私の評はアテにしないでください。また今日も頓珍漢なこと書いてやがんなあ、ぐらいの感じで読むのが丁度良いかと思います。

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