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帝銀事件 死刑囚(1964年)

 21日に書いた『黒部の太陽』熊井啓の、監督デビュー作だ。

 この作品を作るにあたっては、事件を徹底的にリサーチし、事件および捜査、裁判の詳細を鉛筆一本に至るまで完全に再現したと言う。事件の再現では、犯人の声が平沢貞通役・信欽三でないところを見ると、熊井監督が、平沢は冤罪だったとする立場をとっていたのは明らかだが、平沢に有利な情報も不利な情報も公平・客観的に盛り込んでいる。言わばドキュメンタリー・ドラマであり、多少の脚色はあろうが、帝銀事件を知りたければこの作品1本観ておけばかなり正確な知識が得られそうである、という点でお勧めしたい。(因みに、真犯人の声は加藤嘉さん。演じた方は誰だったか分からない)

 さて、感想だが、やはり、終戦直後の、GHQの占領下で起こった事件だということがポイントなのかな、と思った。この時代でなければ、平沢が有罪にされ、死ぬまで刑務所で過ごすことにはならなかったろう。と書くと、オマエも平沢無罪説か?と問われそうだが、この作品はかなり客観的に描かれており、この作品を見る限り無罪としか言いようがない。熊井の思う壺だと言われても構わない。

帝銀事件死刑囚_信欽三 当時から警察やマスコミも睨んでいたように、真犯人は防疫の仕事に従事しているか、過去に従事していた人間としか考えられない。最も有力だったのが旧731部隊の隊員だ。犯行に使われた毒物は旧731部隊で開発されたものだったからだ。
 しかし、GHQからの圧力でその線での捜査を無理やり中断させられてしまった。米国が旧731部隊の研究成果を欲していたからだ。
 これが平沢貞通の不幸の始まりだ。警察は何が何でも別の誰かを犯人に仕立て上げなければならなかった。その時たまたま網に引っかかってしまったのが平沢だったのだ。平沢が真犯人ではないことぐらい警察も裁判所も知っていたかも知れない。それでも、旧731部隊の残党を調べられない以上、平沢に罪をかぶってもらうしかない、そんな状況だったのではないか? 日本は1951年(昭和26年)、サンフランシスコ平和条約に調印して形の上では独立した。しかし、当時の極東情勢を見れば、まだアメリカの庇護が必用で、日本はアメリカの顔色を窺うことしか出来なかった。平沢を無罪にすれば、残る道は旧731部隊の残党に捜査をかけるしか無い。平沢を無罪にするわけにはいかなかった。歴代の法務大臣が平沢の死刑執行を拒んだのはなぜか、この辺りの事情を知っていたのではないか。そして平沢は、1951年(昭和26年)9月29日、東京高裁で控訴棄却。1955年(昭和30年)4月7日、最高裁で上告棄却、5月7日、死刑確定。
 戦後、戦犯裁判で多くの元日本兵が処刑された。無実の罪で殺された日本人も相当数いたようだ。彼らは戦争の犠牲者と言えるが、平沢も同じではなかったか?


 熊井監督は平沢自身のみならず、その家族の悲劇にも視点を向けている。平沢が有罪となったことで、家族はバラバラになってしまった。娘は日本にもいられなくなり、米国に渡る決断を余儀なくされた。今まで平沢のことばかり考えていた私だが、犯罪者の烙印を押されると、本人ばかりでなく、その家族にも悲劇が待っていることに気づかされた。何と罪深いことだろう。

 そしてマスコミだ。一人の記者が自らの報道姿勢を省みて漏らす言葉が印象的だった。
「世論については我々も責任がある。弁護団が言ってたね、ジャーナリズムが毎日クロと書き立てる。すると大衆は感情的に、批判もせずにそれを鵜呑みにしてしまう。戦争中と丸っきり同じだ。その世論の大きな暗示が証人・鑑定人に大きく作用している。裁判官にもその影響が無かったとは言えない。」
 この作品が作られたのは昭和39年だが、マスコミの悪弊については人々も気付き、恐らくジャーナリズムの世界に身を置く人々も自覚はしていたのだろう。だが、その自覚があるのに、未だにその癖は治らないようだ。だが、それはジャーナリストだけの責任だろうか? 大衆もそういう報道を望んではいないだろうか? 政治家と同じで、ジャーナリズムもその受け手となる大衆のレベルに合ったものにしかならないんじゃないか? そう思うと、私たち一人一人がもっと冷静に、賢くならなければと思う。



帝銀事件 死刑囚帝銀事件 死刑囚(1964年)
監督・脚本:熊井啓
音楽:伊福部昭
編集:丹治睦夫
配給:日活
出演:信欣三、内藤武敏井上昭文、高野由美、鈴木瑞穂

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作品や監督、俳優等について深い知識は持ち合わせておりません。ハッキリ言えばニワカですので私の評はアテにしないでください。また今日も頓珍漢なこと書いてやがんなあ、ぐらいの感じで読むのが丁度良いかと思います。

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