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八つ墓村 (1977年) 主演:萩原健一

八つ墓村1 この映画は、はるか昔の高校時代にテレビでやってたのを一度観たっきりなんですが、今日改めて観た時、とんでもない記憶違いをしていることに気づきました。渥美清が金田一耕助なのは覚えていたのですが、その金田一耕助が、今多くの人が思い浮かべる着物に袴ではなく普通の洋服を着ていたのです。私の記憶の中ではずっと石坂金田一と同じあのコスチュームで思い返されていたので、渥美金田一が初めて登場したシーンでは持っていたコーヒーカップを膝の上に落としそうになりました。

 なぜ、そのような記憶違いが起こったのか? 理由は多分、この作品の主人公が金田一耕助ではないためです。
 主役はあくまで萩原健一扮する寺田辰弥。だから辰也中心にストーリーが進行し、金田一耕助は完璧な脇役、登場シーンも本当に少ないです。影が薄いといいますか、あまり活躍していません。一応、探偵として登場する以上、最後に真犯人が誰かを告げる役回りは与えられているものの、その推理結果に至った過程の描写はごっそり削除されてます。ある意味、この映画は横溝物映画ではあっても、金田一物映画ではないのかも知れず、横溝ファンというより金田一耕助のファンなんだという方は不満を感じるかも知れませんね。

 しかも、それが普通のオジサンの格好じゃあ、「こんなの金田一じゃないやい!!」と駄々をこねたくもなりますが、『八つ墓村』は松竹作品であり、東宝と同じ金田一にするワケにはイカン!!ということもあったのかも知れません。また、石坂浩二で金田一耕助のイメージが定着する以前は、中尾彬がジーパン姿の金田一耕助をやったり、高倉健にいたってはスーツ姿のダンディな金田一をやってたそうですし、これで文句を言うのは、私のように『犬神家』から金田一を知った“ニワカ”なのかも知れません。

八つ墓村3 それに、この作品、舞台が、終戦直後ではなく現代に置き換えられていて(もちろん、現代と言っても今から三十数年前の現代ですよ)、その時代に袴姿の人なんていませんからね。

 この、舞台を現代に置き換えるという趣向は良い効果を上げてます。祟りや怨霊の跋扈する田舎と、都会との対比が凄く利いているのです。辰也の職場を、空港といういかにも現代的な場所に設定したのも多分狙ってのことでしょう。高校の頃、一番最後で辰也が都会に戻ってきて飛行機の誘導をやってる姿を見た時は、「“普通の世界”に戻れてよかったな~・・・」とホッした気分になったのを覚えてます。その直前のカットが、山の上から、炎上する多治見家を八人の落ち武者(の亡霊?)が見下ろしている姿ですから、なおさら「よかったな~~~」という気分でした。

 余談ですが、この多治見家が炎上するシーンは特撮ではありません。莫大な金をかけて作った屋敷を本当に燃やしちゃったのだそうです。当時の新聞に載ってました。おかげで遠くからの俯瞰でも凄い迫力が感じられ、見せ場の一つになってます。

 で、八人の落ち武者なんですが、彼らを村人が惨殺するシーンもムゴかった。見ながら、「この糞百姓どもがーーー!!」と奥歯をギリギリ噛み締めていました。絵自体は、まるで安っぽい怪談映画のようなところもあるし、チョットやり過ぎだろ?とも思う反面、いや、これぐらいやらないと、尼子義孝がなぜ末代まで祟る怨念を抱くに至ったかが伝わらないじゃないかとも思います。

 そして、尼子義孝の怨霊に操られるようにして起こった、辰也の父・多治見要蔵による村人大量殺人事件です。前の落ち武者虐殺シーンと違って、このシーンはやたらリアルでした。モチーフが実際に起こった津山三十人殺しであることは有名ですが、野村芳太郎監督、その事件を現場で見てたんじゃないか?と思えるほどで、まるで悪夢のようでした。多治見要蔵役の山崎努も、元があの顔なのに(ゴメンナサイ)、更にその顔にあんな不気味なメイクをして、頭に鬼の角のように懐中電灯を差して、その格好だけでもキ○ガイなのに、それが狂人丸出しの形相で夜の闇を疾駆するんですから、まあ、夜の通りであんなのに出くわしたら私なら0.1秒以内に失神する自信があります。

 こうして次々と凄惨なシーンが続くこの物語、「もう勘弁して~~~~!!(泣)」と、思わず叫んでしまいそう。しかし、野村芳太郎監督は、クライマックスの前にとびきり美しいシーンを用意してくれていたのです。



 それは、辰也と美也子の二人が“竜のアギト”を探そうと言って、二人だけで地下の鍾乳洞の中を歩いていくシーンです。八つ墓村2芥川也寸志による「道行のテーマ」をバックに、手に手を取りあって歩く二人。やがて見つかる“竜のアギト”、辰也が産まれた場所です。辰也と美也子の交情シーンに、辰也の、母と父の結ばれるカットがオーバーラップし、本当に美しいシーンになってます。それを彩る芥川也寸志の、これまた美しすぎるほどに美しい音楽が、おどろおどろしく残虐な作品に格調を添えました。
 この数分間があるが故に、『八つ墓村』は、『犬神家の一族』に勝るとも劣らない名作になり得たと私は確信してます。
 金田一映画、あるいは横溝映画を知らない今の若い世代の人には是非観ていただきたい作品です。ただし、他の作品も観るつもりなら、これを真っ先に観ちゃうと、他のがつまんなく見えるかも知れないのでご注意を。

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八つ墓村4『八つ墓村』(1977年)
監督:野村芳太郎
製作:野村芳太郎、杉崎重美、織田明
原作:横溝正史
脚色:橋本忍
撮影:川又昂
音楽:芥川也寸志
美術:森田郷平
編集:太田和夫
録音:山本忠彦
照明:小林松太郎

出演:萩原健一(寺田辰弥)、小川真由美(森美也子)、山崎努(多治見要蔵、久弥)、山本陽子(多治見春代)、市原悦子(多治見小竹)、山口仁奈子(多治見小梅)、中野良子(井川鶴子)、加藤嘉(井川丑松)、井川比佐志(井川勘治)、花澤徳衛(磯川警部)、綿引洪(矢島刑事)、下絛アトム(新井巡査)、夏八木勲(尼子義孝)、田中邦衛(落武者A)、稲葉義男(落武者B)、橋本功(庄左衛門)、大滝秀治(諏訪弁護士)、夏純子(美也子の妹・和江)、藤岡琢也(久野医師)、下絛正巳(工藤校長)、山谷初男(馬喰吉蔵)、浜田寅彦(吉岡太一郎)、浜村純(森荘吉)、任田順好(濃茶の尼)、渥美清(金田一耕肋)




 「竜のアギト」のアギトって何だろう? と調べてみたら「顎」のことなんですね。「竜のアギト」とは「竜のアゴ」って意味みたいです。そう言えば、仮面ライダーアギトという特撮ヒーローがいましたね。あのアギトもクワガタの顎を意味してたのでしょう。
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作品や監督、俳優等について深い知識は持ち合わせておりません。ハッキリ言えばニワカですので私の評はアテにしないでください。また今日も頓珍漢なこと書いてやがんなあ、ぐらいの感じで読むのが丁度良いかと思います。

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