FC2ブログ
ホーム   »  2012年04月
Archive | 2012年04月

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン(2008年)

監督:和泉聖治
脚本:戸田山雅司
製作:松本基弘、上田めぐみ、香月純一、西平敦郎
製作総指揮:君和田正夫
音楽:池頼広
撮影:会田正裕
編集:只野信也
配給:東映

出演:水谷豊寺脇康文、鈴木砂羽、高樹沙耶、岸部一徳木村佳乃、西村雅彦、原田龍二、松下由樹、津川雅彦、本仮屋ユイカ、柏原崇、平幹二朗、西田敏行



 ツッコミ所が多いけど面白い、ツッコミ所が多いから面白くない、ツッコミ所は無いのに面白くない、映画にはこの3つのタイプがあるように思います。さて、この『相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』(何だ、この無駄に長いタイトルは!?)は、その3つのタイプの内どれだったでしょう?

《あらすじ》

 警視庁の窓際部署である「特命係」の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)は、連続する猟奇殺人事件を追いかけるうちに、衆議院議員である片山雛子(木村佳乃)に行き当たる。雛子の亡き父は、外務大臣も務めた大物議員だった。殺人現場に残された謎の記号を分析する右京は、それがチェスの棋譜にあたることを発見する。殺人は、ネット上のサイト「人民法廷」で予告されていた。そして、犯人から次の犯行の予告メールが届く。その場所は数日後に開催される東京ビッグシティマラソンのコースであり、ターゲットは3万人のランナーと15万人の観客だった。(goo 映画より)

相棒 劇場版Ⅰ1 警察側に杉下右京のような天才的頭脳を持った捜査員がいる、ということを犯人側が事前に知っていなければ成り立たないストーリーであったり、話が展開していくキッカケキッカケが多少強引であったり、その他色々ツッコミ所はあったものの、この作品は私にとっては「ツッコミ所が多いけど面白い」映画でした。
 展開がとにかく早いし、杉下右京と犯人との頭脳戦もなかなか緊迫感があって、2時間以上の時間がアッと言うまに過ぎてしまいました。


 また、簡単に誘導されてしまう世論というものの如何わしさや匿名性の影に隠れて個人を誹謗中傷する者たちの醜悪さも盛り込まれていて、単なる娯楽映画に終わっていないところも良かった。犯人が最初に使ったのが、誹謗中傷者の武器でもあるインターネットであるところも象徴的です。
 ただ、結局、それらは全て政府の誘導によるものだった、全て政府が悪かったという話にしてしまっているのは残念です。そうしないと、大衆=観客(お客様)を批判してしまうことになると配慮したのかも知れませんが、腰が引けてるなあと思わないでもありません。
 
相棒 劇場版Ⅰ2 今回はテレビ朝日系『日曜洋画劇場』で放映されたものを観たのですが、『日曜洋画劇場』では来週も引き続き『相棒 劇場版II 警視庁占拠! 特命係の一番長い夜』(何だ、この無駄に長いタイトルは!?)を放送するそうです。私のように、テレビドラマ版を全然観たことが無かった人間にも楽しめす。よかったら皆さんも観てみて下さい。私は既に次回の放送も録画予約しちゃいました。

 
にほんブログ村 映画ブログへ  

スポンサーサイト

嗚呼!!花の応援団(1976年)


監督:曽根中生天使のはらわた 赤い教室
脚本:田中陽造俺達に墓はないセーラー服と機関銃
原作:どおくまんプロ
企画:成田尚哉
製作:三浦朗
撮影:山崎善弘
美術:柳生一夫
音楽:コスモスファクトリー

出演:今井均、香田修、深見博、坂田金太郎、堀礼文、高瀬将嗣、檀喧太、伊佐山ひろ子、宮下順子、安部徹、放駒、水原ゆう紀



 イイなあ、この下らなさ、この馬鹿馬鹿しさ(笑)。決して上等なコメディではないのだけれど、B級臭さや関西独特のユル~イ雰囲気が全編に漂っていてイイです。

 「一回生はゴミ、二回生は奴隷、三回生は人間 そして四回生は神様!!」

嗚呼!!花の応援団1 いやいや、凄まじい世界です(笑)。マゾじゃないと気がおかしくなるでしょう。極道社会でもここまではやらないよな?というぐらい、上下の規律を最大限誇張して面白おかしく描いてます。

 原作は言わずと知れたハチャメチャ漫画。この漫画を初めて知ったのは中学生の頃。ませたクラスメートが教室に持ち込んできた単行本を読んだのが最初でしたが、読むなり、あまりの面白さにすっかり虜になってしまいました。私の中で『がきデカ』がその王座を明け渡した瞬間でした。でも、それ以来、テレビで大学の応援団を見ても、この漫画の滅茶苦茶なシゴキを思い出して、応援団員の皆さんに少なからず同情を覚えるようになったのですが・・・。

嗚呼!!花の応援団5 上にハチャメチャ漫画と書きましたが、ハチャメチャと言っても、時々ジワリと涙を誘うような物語もあって、そういうところが人気の一つだったのですが、この作品でも、前半は先輩後輩の無茶苦茶な主従関係で笑わせながら、後半では、青田赤道とお新さんの別れや、富山の失恋で泣かせてくれて、見事にその部分を拾い上げてます。
 特に、富山の失恋は切なかった。売春婦・初江(水原ゆう紀)に恋をしてしまった富山(香田修)が、初江に会いに売春宿へ行くと邪険に追い払われる。富山はそれでも窓の下から初江に応援コールを送る。その声を聞きながら客に抱かれる初江の頬に涙が流れるというラストシーン。それはもう実に演歌な世界ですが、私、こういう湿っぽい世界が嫌いではありませんで、やっぱり泣いてしまいました。
 嗚呼、曽根中生監督も脚本の田中陽造氏も『嗚呼!!花の応援団』という漫画の真髄を理解した上で実写化してるんだなと嬉しくもなりました。
 
嗚呼!!花の応援団2 ただ、主人公・青田赤道のキャラが弱過ぎなのが惜しかった。原作の青田赤道はほとんど人間の顔をした怪獣でしたが、その怪物的な強烈さが感じられず、この手の作品には欠かせない“熱気”を削いでしまってるように思います。まあ、演じた今井均さんて方は、公募で選ばれたズブの素人で、とにかく芝居が下手だし弾けた演技も出来ませんから仕方ないのかも知れませんが。

 あの当時は主人公を公募で選んだ映画って結構ありましたね。多くは話題作りの為だったのでしょうが、少なくともこの作品に限っては予算削減の為という切実な問題だったんじゃないかなあという印象です。画面は見るからに低予算な絵ですしBGMも極端に少なかったし。

嗚呼!!花の応援団4 青田赤道役の今井均だけでなく他の出演者達も、この作品がデビュー作だったり、『嗚呼!!花の応援団』シリーズしか出てない人が多い所を見ると、出演者の半分以上を公募採用で賄ったんじゃないでしょうか? もう一人の主人公とも言える富山も、北口も、他の出演者も全員芝居があまり上手ではなかったです。坂田金太郎や堀礼文のようなプロの俳優さんも混じっていたし、富山役の香田修や北口役の深見博(現・深見亮介)などはこの作品後も俳優業を続けてはいるのですが・・・イマイチでした。
 とにかく、田中陽造の脚本はそれほど悪くないのに、役者達の芝居下手が原因でかなり雰囲気を盛り下げてます。それが逆にユル~イ雰囲気を醸し出してて別の味を出してたりするんですけどね。

嗚呼!!花の応援団3 あと、この作品に出演した皆さん、今、どうしてるんだろう?と調べてみたんですが、色々ですね。俳優続けてる人もいるし、政治家になった人もいます。南河大応援団長・木村を演じられた坂田情児さん、リーダー長・柏原を演じられた堀礼文さんは物故されたようです。一回生・村上を演じられた高瀬将嗣さんは、元々父君が高瀬将敏という有名な殺陣師ということで、その後、殺陣師、アクションコーディネイターとなり、『嗚呼!!花の応援団』平成版では監督も務められたとのこと。一番面白かったのは、浪華大応援団長・角木を演じられた神戸誠さん。当時は少林寺拳法の学生日本一だったそうですが、現在はゴルフのトップシニアアマとして活躍されてるそうです。

【参考】
LD DVD & Blu-ray GALLERY
しねま from はうす with らぶ
プロカメラマン内田眞樹のだいたい日刊Uchida Times
フリー百科事典Wikipedia

にほんブログ村 映画ブログへ  

作品とは全く関係無いのですが、『河内のオッサンの唄』
あの頃、私のクラスではよく流行ってたので


乱れからくり(1979年)

《あらすじ》
玩具メーカー「鶴寿堂」の製作部長の馬割朋浩が交通事故に遭って死んだ。息をひきとる直前、同乗していた妻、真棹の首を締めようとしながら。「鶴寿堂」社長・馬割鉄馬に依頼されて会社乗取り工作を調査していた興信所の社員勝敏夫は、すんでの所で真棹を助け出した。馬割家は江戸時代以来の人形作り一節に歩んできた一族で、現在は、脳溢血で倒れた三代目の鉄馬に替って息子の宗児が営業部長を、鉄馬の弟、龍吉の息子朋浩が製作部長を担当して店の経営にあたっていた。しかし、朋浩の妻、真棹と宗児には肉体関係があり、朋浩と宗児の仲は業界でも評判の険悪なものであった。やがて、「朋浩さんは殺されたのよ!」と話していた宗児の妹の香尾里が屋敷内で殺された。馬割一族の住む屋敷は〈ねじ屋敷〉と呼ばれるほど迷路の入り組んだ邸宅で外部の者はとても自由に歩けない。犯人は内部に存在するのか?つづいて宗児が自分の自慢の茶運び人形に仕掛けられた毒入りの注射器で殺された。敏夫は、茶運び人形の作者が江戸時代末期に金沢で活躍した天才人形師、大野弁吉であることをつきとめ、金沢に飛んだ。
乱れからくり - goo 映画


監督:児玉進
脚本:永原秀一
原作:泡坂妻夫
製作:田中文雄
撮影:上田正治
美術:樋口幸男
音楽:大野雄二

出演:松田優作野際陽子篠ひろ子沖雅也峰岸徹岸田森、結城しのぶ、田中邦衛、山西道広、北見治一


乱れからくり1 久しぶりに松田優作主演作を観ました。『乱れからくり』という1979年の作品です。原作は泡坂妻夫による同名の小説で、「第31回(1978年)日本推理作家協会賞」受賞作であり、直木賞候補にも挙げられていたそうです。そういう作品ならさぞや面白い映画に仕上がっているだろうと期待して観ました!! が・・・残念ながらあまり楽しめませんでした。

 とにかく脚本が荒いように思います。都合よく話が進み過ぎだし、ところどころ張られた伏線が全然回収されないまま終わったり。勝君(松田優作)と真棹(篠ひろ子)が逃げ込んだ旅館に、送られてきた人形の意味は何だったのでしょう? 大野弁吉の弟子・久右衛門が馬割作蔵と同一人物だったことで、なぜ、銭屋五兵衛の隠し財産がネジ屋敷の地下に隠されていることが分かったのでしょう? 勝君と真棹はいつの間に恋仲になったんでしょう? ・・・観終わっても納得いかない点が所々あって、消化の悪い食い物を食っちまった感が残ります。

 でも、良い点もありました。
 例えば、宗児(峰岸徹)が勝くんや宇内舞子(野際陽子)らに、自分のカラクリ人形のコレクションを嬉々として見せびらかすシーン。あれは良かった。「私のコレクション見てくださいよお」という雰囲気が出てて、「ああ、コレクターってこんな感じなんだろうな」と微笑ましくさえありました。勝君は少々退屈そうでしたが、宇内舞子はとりあえず彼に付き合って褒めて差し上げたりして、いや、私もあの場にいたら、内心興味無くてもビックリしたふりをしてあげたい、と思うほど、宗児が幸せそうで良かったです。

 また、【映画宝庫V3】さんによると、監督の児玉進という方は、テレビドラマ『太陽にほえろ!』のメイン監督を務めた方で、作品の中に登場する警察内部も『太陽にほえろ!』のセットを流用しているそうです。観ていると、「あ、これ七曲署じゃん!!」というシーンがあって、そういうところは楽しめます。

 登場人物については、奈良木警部役の田中邦衛は目いっぱいキャラを立てようとしてるのは分かりますが、どこか浮いてました。 
 でも、野際陽子演じる宇内舞子は、男言葉で話す面白いオバサンで、良いキャラクターでした。素人考えではありますが、松田優作野際陽子のダブル主演にして、二人のやりとりをもっと増やしたほうが面白くなったんじゃないかな?と思います(いっそのこと野際陽子主演でも良かった)。

乱れからくり3 ただ、トリックの強引さはどうにかならなかったですかね?(ネタバレしまくってますので、これから観るつもりの人は読まないように)
 第一の殺人として、馬割朋浩(沖雅也)と、その妻・真棹(篠ひろ子)を乗せた車が、空港に向かう途中で事故を起こし、朋浩だけが全身火傷で死んでしまうわけですが、実は朋浩が替え玉を用意して、自分が死んだように見せかけた、ということになってます。しかし、事故を起こした場所はどう見ても住宅街のど真ん中。こんな場所で事故を起こし、しかも車のトランクに乗せておいた替え玉を運転席に乗せるなんて出来ますか? 事故だけで大音響がするはずですし、車は炎上しているわけで、周りの住民は何事かと窓からでも様子を窺うでしょう。たとえ誰にも見られず入れ替えることが出来たとして、その替え玉が、誰だか判別出来ないぐらい燃えてくれるという保証がどこにあるのでしょう? あまりにリスクが大き過ぎるんじゃないでしょうか?
 第二の殺人は、馬割香尾里(結城しのぶ)が、朋浩からのプレゼントである万華鏡を受け取り、それを同封の手紙の指示通り池の縁で覗くと、万華鏡の覗き窓から銃弾が発射され香尾里が死ぬ!!というものですが、これもおかしなトリックでした。まず、香尾里が万華鏡を覗いた途端に銃弾が発射されるというのはどういう仕掛けでしょう? これについての説明は全然ありません。まあ、いいですよ、馬割家はカラクリに詳しそうな家ですから何らかの仕掛けが出来たのでしょう。でも、香尾里が朋浩からの指示通りに池の縁で万華鏡を覗いた結果、万華鏡は池に落ちて、凶器が何か分からなくなる、というトリックはいかがでしょう? 「石灯籠のところに立って万華鏡を覗け」という手紙だけで、香尾里が都合よく池に万華鏡が落ちる位置に立つ保証はあるのでしょうか? 画面で見る限り、石灯籠と池までは2メートルはあります。どこに立つか分かったもんじゃありません。むしろ池の縁ギリギリの所に立つ確率のほうが低いように思うのですが。
 第三の殺人で殺されるのは、香尾里の兄・宗児(峰岸徹)です。勝や宇内舞子に茶運び人形を見せている途中、人形に仕込まれた毒物入りの注射器に刺され、死にます。これも変です。朋浩は自分が海外に行っている2週間の間に宗児を殺す算段だったのですが、その2週間の間に、宗児がカラクリ人形に触る保証がどこにあったのでしょう? まあ、朋浩は途中で偽装死することになってますから、それが3週間後でも4週間後でもいいのかも知れませんが、それでも、第四の殺人に至っては、脚本家、本気で考えてるの? と言いたくなります。
 被害者は、馬割家当主・馬割鉄馬(岸田森)です。普段飲んでいる薬を飲んだところ、それに混入されていた毒によって死にます。トリックとしては、カプセル錠の中身が全部毒物にすり替えられ、ただ一錠を除いて、カプセルが全てプラスチック製にされていたので胃の中で溶けず死ななかった。しかし、一錠だけ、カプセルがゼラチン製なのがあって、それを飲むと毒で死ぬ。と言うんですが、そんな面倒臭いことしなくても、一錠だけに毒入れとけば済むやん・・・としか言いようが無かった。
 最大のトホホは、真犯人朋浩が、銭屋五兵衛の隠し財産を独り占めするため、容疑をかけられないよう自分が死んだことにして、馬割家一族を皆殺しにしていくという計画です。思うに、たとえそれが全て上手くいったところで、「死んだはずのアンタが、どうやってその財産の正当な所有権を主張出来ますのん?」てことです。全員が死んだ後で、「馬割家の財産は全部オレのもんだ」と出ていったところで、「じゃあ、事故で死んだ馬割朋浩は誰ですのん?」「あんた何か妙な真似してまへんか?」と疑いをかけられるんじゃありませんか? それとも一生死人のままで、戸籍も細工して別人として生きていく算段でもしてたんですかね?
 よく分かりません。と言うより、このトリックって、泡坂妻夫の原作通りなんですかね? だとしたら、日本推理作家協会賞っていう賞の権威にも疑問を持ってしまうのですが・・・。

乱れからくり2 まあ、いいんです。この作品も松田優作という人気俳優が出演することだけに頼ったブロマイド映画だったのでしょう。優作のファンとしては、彼の顔が観られるだけで良いんです。もうちょっとワイルドな優作が見たかったけど。

 あと、私は教養の無い人間ですので知らなかったのですが、劇中、名前だけ出てくる銭屋五兵衛や大野弁吉といった人物は実在したんですね。映画の中では銭屋五兵衛の銅像まで出てきます。金沢では有名なのでしょうか? いや、多分、全国的に有名な人物なのでしょう、私が知らないだけで。
 こういう実在の人物が話に絡んでくると、それにまつわる謎解きで一挙に話が面白くなるし、私はそういう話が大好きなのですが、この作品ではそれが活かしきれてなく、中途半端に名前だけ出すに終わっているのが残念です。この辺りを中心に話を進めれば凄く面白い映画になったように思うのですが・・・。

にほんブログ村 映画ブログへ  

ライオン・キング(1994年)

ライオン・キング この作品について書くとなると、やっぱり、よくも『ジャングル大帝』をパクりやがったな!!ってことを言いたくなるのだけど、そのことはもう他の方が散々書いてるんで、敢えて触れないでおこうと思います。ディズニー・プロはとかく権利関係にシビアで、たとえ商用ではない場所でディズニーキャラクターを使用しても難癖つけてくることで有名ですが、そこまで自分達の権利に執着するんなら他人の作品の権利も尊重しろよ!とか、手塚治虫が死ぬのを待ってたようにパクるとはどんだけ卑劣なんだよ!?とか、そんだけ言っとけばいいでしょう。

 とりあえずここでは、TBS『水曜プレミアシネマ』で4月5日に放映された『ライオン・キング』を観た感想だけを書き留めておきます。

 絵については、もう言うことありません。さすが天下のディズニーです。素晴らしい。動物のデフォルメも神がかってます。アニメ大国と言われる日本ですが、イボイノシシ“プンバァ”のようなセンスのあるキャラクターデザインが出来る人はあまりいないように思います。

 また、視覚的に美しいシーンが随所に見られました。特に私のお気に入りは、ティモン 、プンバァ 、シンバが『ハクナ・マタタ』を歌いながら一列になって行進するシーンです。楽しくてファンタジック。大変好きなシーンです。

 ストーリーも、子供向け作品だけあって単純で分かり易いですね。欲を言えば、シンバとスカーの戦いが、王座を賭けてと言うより、叔父と甥の身内争いにしか見えないのが残念です。スカーが王座を乗っ取った後の、プライド・ランドの荒廃ぶりがアッサリとしか描かれていないせいでしょうか? シンバがプライド・ランドのために立ち上がったというヒロイックな感覚があまりありません。
 もう少し大風呂敷広げても良かったんじゃないのかなあ?と少しばかり物足りなさを感じちゃいましたけど、まあ、子供にあんまりスケールの大きい物語を見せても分からないかも知れないし、これはこれで良かったのかな? 

 あと、せっかく凄い技術を持っているのだから、スペクタル感溢れるシーンをもっと増やせなかったかな?とも思います。例えば、シンバが、突進する水牛の群れに巻き込まれた時のような、ああいうシーンをもっと見たかった。雄大なるアフリカの大地を舞台にしているのに、いまいちスケールが小さい気がする。その点では、『ジャングル大帝』はオープニングから雄大ですね。

 最後に見てください。『ジャングル大帝』のオープニングです。技術的にはディズニーの足元にも及びませんが、雄大さを感じさせるビジュアルです。ディズニーがパクりたくなるのも分かろうと言うもんです。



にほんブログ村 映画ブログへ 



ライオン・キング(1994年)
監督:ロジャー・アレーズ、ロブ・ミンコフ
脚本:ジョナサン・ロバーツ、アイリーン・メッキ
製作;ドン・ハーン
製作総指揮:トム・シュマッカー、サラ・マッカーサー
音楽:ハンス・ジマー
主題歌:エルトン・ジョン

嫌われ松子の一生(2006年)

 『下妻物語』があまりに面白かったので、録画したまま放置していたこの作品も観てみた。それなりに高い評価を得た作品だってことは知っていたのだけど、観ると、多分辛い思いしそうだなあと思って、今まで観る勇気が湧かなかった。下妻観なかったら恐らくまだ観てないだろう。

 一方的な思い込みで父の愛を十分感じられなかった松子が、教師をクビになったことから家出。幸せを求めながらも人生の坂をドン底まで転げ落ちていく様を描く。男から男の間を渡り歩くが、その相手がどれもロクなヤツじゃなく、そのツキの無さは、前半、全くのギャグではある。

 ところどころミュージカル仕立てになってたり、メリーポピンズ張りのファンタジックなアニメが合成されたりと、『下妻物語』を踏襲したポップな演出で、松子の不幸も半ばペーソスのレベルだったけど、終盤が近づくにつれ、焦点が専ら松子の孤独に当てられてくると、そういう演出が逆にセンチメンタルで悲しい気分を煽る。幼い頃、「マッチ売りの少女」の話を聞かされた時のような、そんな感覚だ。
 
 終盤は本当に悲しい。

 一人、故郷の筑後川に似ている東京の川を見ながら泣いていたという松子。「生まれてごめんなさい」と泣きながらアパートの壁に書いてしまう松子。光GENJIの内海光司に夢中になるくだりは、もう誰とも関係を持たないと誓った松子が、やはり孤独に押し潰されそうで、虚構の人間にまで愛を求める姿だったのだろう。そういう松子の姿が本当に悲しい。

 他人との接触を断ち、引きこもって暮らす晩年の“嫌われ松子”は、他人から見ればゴミのような存在に見えたかも知れない。でも、ここで思う。どんなにゴミのように見える人間でも、一人一人がそれぞれの過去を生きてきたんだってことを。それを観客に伝えられることがこの映画の良さだ。松子にも過去がある。多くの人々の倍以上の過去を生きてきた。その人生は無価値だろうか?
 中島哲也監督は、松子の甥である笙や、その恋人・明日香の言葉に託して、松子に優しい言葉を投げかけている。
 「人間の価値って、人に何をしてもらったかじゃなく、何をしてあげたかだよ」
 松子ほど他人に何かを与え続け、そのくせ他人からは何も与えられなかった女はいない。松子は十分価値のある人間だったんだと中島哲也は言っているように思う。私もそう思う。

 松子が、やっと幸せだったあの頃に帰ることが出来たのは死んでからだった。「まげてのばして」の歌にのせて。
 美しい歌、美しい映像が余韻を誘う。

 素晴らしい映画だ。恐らく『下妻物語』よりこの『嫌われ松子の一生』の方が作品としては上だ。でも、私はもう二度と見たくない。涙が次から次に溢れて止まらなかった。こんな悲しい思いは、出来ればあまりしたくない。

にほんブログ村 映画ブログへ  

『嫌われ松子の一生』(2006年)
監督・脚本:中島哲也
原作:山田宗樹(幻冬舎文庫)
製作:石田雄治、佐谷秀美
製作総指揮:間瀬泰宏、小玉圭太
音楽:ガブリエル・ロベルト、渋谷毅
撮影:阿藤正一
編集:小池義幸
配給:東宝

出演:中谷美紀瑛太伊勢谷友介香川照之市川実日子柄本明


下妻物語(2004年)

下妻物語 女の子同士の友情を、中島哲也の独特な脚本・演出で描いた傑作。

 ファンキーなオープニング、見渡す限りのクソ田舎にロリータファッションの少女、桃子の嗜好そのままの極彩色の画面、その他諸々。中身は極めて単純な友情物語なのに、脚本と演出次第でそれがこうも面白い作品に化けるとは・・・いやあ、面白かった。本当に面白かったよ『下妻物語』!!

 桃子役の深田恭子も、イチゴ役の土屋アンナも、それぞれのイメージを素のままで演じ、しかもどちらもピタリと役柄にハマっていて魅力的だ。桃子の子供時代を演じた福田麻由子ちゃんは『L change the WorLd』で初めて知ったのだが、これが映画デビュー作とのこと。1994年生まれだからこの作品の時には10歳か。大人顔負けの説教をぶつ姿が妙に可愛かった。その他、おばあちゃん役の樹木希林、お父さん役の宮迫博之、お母さん役の篠原涼子など、それぞれのキャラが生きていてしっかり笑わせてくれている。

 桃子とイチゴのキャラクターは、その外見から想像するイメージを更にデフォルメした感じだが、実は二人とも中身が全然逆なのが面白い。
 桃子は普段からロリータファッションでお淑やかな物腰、顔も喋り方もすんごく可愛いのだが、実は、ドライな性格。顔に似合わず度胸も座っている。人間は一人で生きていくべきで友達なんかいらない! と、その可愛い顔、可愛い喋り方で、平然と言ってのける女の子。
 一方、ヤンキーのイチゴの方は、その外見とは裏腹に中身は寂しがり屋っぽくウェット。桃子に積極的に近づいていくのはイチゴのほうだ。
 イチゴが、強がっていながら桃子を求める様がいじらしくジワジワと心に温もりが広がっていく。この辺りの感覚が良いんだろうと思う。ファンキーな作品世界を好む映像作家は他にも大勢いるが、そこに、「温かみ」という、ファンキーとは対極にありそうな感情を抱かせられるのは、この作品の監督以外にはなかなかいないように思う。

 よく見ると、ドライな桃子がイチゴに友情を感じるようになるまでの過程をあんまり説明していないのだが、不思議なことに、観ているうちに、自分自身がイチゴに親しみを感じるようになっていってそんなことは気にならない。自分がイチゴに親近感を抱いているから、桃子が唐突にイチゴに友情を感じ始めても当たり前のような感覚だ。まるでマジックだが、イチゴという子はそんだけイイ子なのだ。

 最初は「友達なんかいらない」と言って、イチゴを突き放そうとする桃子だったのに、だんだんと友情に目覚めていく。クライマックス、イチゴが、所属するレディース暴走族「舗爾威帝劉(ポニーテール)」から“ケジメ”(即ちリンチ)をつけられると知って、乗ったこともないスクーターを飛ばしてイチゴを助けにいく桃子。しかし、その途中で、桃子は軽トラに撥ねられる。このシーンはオープニングと重なるシーンだが、それまでの物語を知る前と知った後ではこちらの思いが全然違う。一種、メルヘンチック?と思えたシーンが、切なく悲しいシーンに変わる・・・「死ぬな桃子!!」 私は見ながらそう叫んだ。マジで。とにかく登場する二人の子に愛を感じずにはいられなくなる1本だ。

 この後の展開は本編を見ていただきたい。本当に良い作品だとこの私が保証する。長らく疎遠になっていた友達に電話してみたくなるかも知れない。観て欲しい。

にほんブログ村 映画ブログへ  


下妻物語(2004年)
監督・脚本:中島哲也
原作:嶽本野ばら
製作:近藤邦勝
製作総指揮:大里洋吉
撮影:阿藤正一
編集:遠山千秋
音楽:菅野よう子、Tommy heavenly6
配給:東宝

出演:深田恭子土屋アンナ、宮迫博之、篠原涼子、樹木希林、他

ブタがいた教室(2008年)

 6年生を担任する一人の教師(妻夫木聡)が、ある日教室に子豚を連れてくる。それをみんなで育て、食べようと言うのだ。教師の目的は、その体験を通して、食べ物の大事さ、つまり、「生き物を食べるということは命をいただいているんだ」と言うことを子供達に分からせることにあるらしい。
 教師が教室に子豚を連れてきた4月から、児童らが子豚のために小屋を建て、ピーちゃんと名付け、一生懸命世話をする1年間が描かれている。
 やがて卒業の時期が迫り、ピーちゃんを本当に食べるのか、それとも食べずに3年生に後の世話を任せるのか、クラス全員で真剣な議論が行われ・・・。

 率直な感想として、食べ物の大事さを教えるのに、豚一頭の命を犠牲にする必用があったのか?ということがある。子供達に世話をさせれば、たとえそれが豚であろうがペット視することは容易に想像がつくだろう。それを殺して食べるなんて、悪趣味極まる嫌がらせに等しい。教師も「ぼくは子供達に凄く残酷なことをしているかも知れない」とは言ってるのだが、校長は「生き物と真剣に向き合うことは残酷ですか?」と答えてしまっている。私には空虚な言葉にしか聞こえなかった。やはりこの教師は間違っている。豚が乗せられたトラックを泣きながら追いかける子供らが可哀想でならなかった。この教師は、本人も言ってるように、子供らにかなり残酷なことをしている。こんなのが教育であって堪るか。

 殺すと宣言しておいて、実は殺さない。下の学年に世話を預ける。それでも、子供らには教師の伝えたいことは充分通じるんじゃないのか? この教師は凄く考えが浅いし、下手なやり方をしているように思えてならない。
 いや、私の考えなんかどうでもいいのだ。豚をどうするか、映画の中で子供達が充分議論しているのだ。この作品の中の議論はシナリオではなく、子供らによるアドリブだ。つまり、子役としての子供達ではなく素の子供達が本当はどう考えているかを伝えるシーンだ。食べるべきだ、いや、下級生に世話を引き継ぐべきだ、素の子供達にも色々な意見があって真っ向から割れている。その真剣な議論は見ていて涙が出てくる。

 でもね、先生、何で議論しなければいけないんですか? 「生き物を食べる=命をいただいている」と言うことを“ガーンと”体で体験させるのが目的なら、議論する必用はないんじゃないですか? あなたの目的はどこに行ったんですか? 今頃議論させるなら、ピーちゃんを飼うか飼わないか最初に議論させるべきではなかったのですか? と、私は言いたい。本当に下手だよ、この先生。

 この教師への反発からか、ネットでレビューを見ていても、この授業を実践した教師を糞味噌に叩く記事もあるし、それ故にか、この映画に対してまで辛い評価を下す記事もある。しかし、それは違うんじゃないか?とも私は思う。
 この教師は(私の基準では)間違っているけれど、この作品はいい作品だし、子供達にどんどん見せるべき映画だ。
 理由は簡単。映画を観ることで、豚を育てて食べるという行為を疑似体験出来る。それによって、食べる物を粗末にすまいという心が湧いてくるからだ。途中、豚は骨に至るまで人間に利用されているんだということが説明されているのも良い。いいオッサンである私でさえ、観ている途中から既に、今後は豚肉や牛肉は決して粗末にしちゃいかんなあと思ったぐらいだ。自分自身がリアルに体験したことではないから暫くすると忘れてしまうのかも知れないが。本当に涙ナシでは観れない映画だ。観て、そして考えて欲しい。

にほんブログ村 映画ブログへ  

ブタがいた教室ブタがいた教室(2008年)
監督:前田哲
原案:黒田恭史 『豚のPちゃんと32人の小学生 命の授業900日』(ミネルヴァ書房 2003年)
脚本:小林弘利
製作:佐藤直樹
製作総指揮:馬場清
音楽:吉岡聖治
主題歌:トータス松本「花のように 星のように」
編集:高橋幸一
製作:「ブタがいた教室」製作委員会(日活=関西テレビ=読売新聞=Yahoo!JAPAN)
配給:日活

出演:妻夫木聡 田畑智子 甘利はるな ピエール瀧 大沢逸美 戸田菜穂 大杉漣 原田美枝子 他

【関連商品】 ブタがいた教室 (通常版) [DVD]

SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~(2010年)

SPECロゴ

監督:堤幸彦、加藤新、今井夏木、金子文紀
脚本:西荻弓絵
プロデューサー:植田博樹、今井夏木
音楽:渋谷慶一郎、ガブリエル・ロベルト
製作:TBS
放送期間:2010年10月8日~12月17日(10回)
出演:戸田恵梨香、加瀬亮、竜雷太、城田優、安田顕、神木隆之介、有村架純、福田沙紀、椎名桔平 他
番組公式サイトhttp://www.tbs.co.jp/spec2010/


 公開中の「劇場版 SPEC~天~」という映画がかなりヒットしているそうだ。公開が迫って宣伝が始まるまでタイトルさえ知らなかったのだけど、テレビシリーズもかなり人気だったらしい(だからこその映画化なんだろうけど)。たまたま、こちらの地方でテレビドラマ版が再放送されていたので、そんなに面白いなら一回ぐらい観ておこうと思って観てみた。

 大して期待もしてなかったのだけど、始って10分でもうドラマの中に引き込まれていた。久々に、面白いドラマを見つけた!!という感じで軽い興奮状態。どんぐらい面白いかと言うと、映画のブログなのに、テレビドラマであるこの作品について書かずにいられなくなるぐらい面白い。このドラマについては皆さん知ってるだろうし、何を今更という感じだろうけど、初めて見た私は今頃になって興奮しているわけだ。まあ、我慢して読んで欲しい。
 
 それにしても、ハッチャケたなあ、戸田恵梨香。前に書いたライアーゲームの中での純情少女とは打って変わって、天才的なIQを持ちながら性格的にかなり癖のある女刑事役を熱演している。このドラマが面白いのは、半分はこの当麻紗綾というキャラクターのおかげだ。いつもはだらしない感じで、もうちょっとシャキッとしろよって感じなんだけど、それが突然、松田聖子も真っ青なブリっ子になったり(例えが古い?)、その次の瞬間には今度は思いっきり毒づき始めたりと表情がコロコロ変わり、その“変人ぶり”と言うか“妙さ”加減が実にイイ。今時膝下まであるダサいスカートを穿いてるところなんかもユニーク(白いソックス・黒いローファーと合わせて見ると私には逆にオシャレに見えたりするのだが)。今まで大事に育ててきたであろう可愛いイメージをいとも簡単にブチ壊していて、戸田さんの所属事務所がよく出演をOKしたなと思うぐらいの弾けっぷりだ。とにかく、当麻紗綾が画面に出ている間は1秒たりとも退屈なシーンが無い。四角四面で糞真面目な先輩・瀬文焚流(加瀬亮)のツッコミも最高だし。

 再放送していることに気付くのが遅れて、まだ第3話だけしか見れてないのだが、一十一って何者だ?とか、椎名桔平は何をしようとしてるんだ?とか気になることが一杯で、本当ならこれからの放送で明らかになっていくのだろうが、来週の放送が待ちきれずWikipediaで全部読んでしまった(だからこれからの展開も実はもう知ってるのだ!)。でも、Wikipediaでは戸田恵梨香=当麻紗綾の面白さは味わえない。やはりドラマ本編を観なければ。
 
 次の放送が楽しみだ。ドラマでこんな気分になるのは本当に久しぶり。テレビドラマの劇場版は観にいかない主義だったが、これだけは行ってみようかと真剣に考えている今日この頃なのだった。

出来ればポチッとお願いします!!
にほんブログ村 映画ブログへ
日本映画 ブログランキングへ



『劇場版 SPEC~天~』公式サイトここをクリック! 
(下のような壁紙もDLできますよ)
劇場版 SPEC~天~



【関連商品】
SPEC 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿 Blu-ray BOX
SPEC 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿 DVD-BOX
「SPEC~翔~」 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿ディレクターズカット版 Blu-ray
「SPEC~翔~」 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿ディレクターズカット版 [DVD]

SPEC magazine
SPEC/BoosterBook
SPEC II (角川文庫)
SPEC III (角川文庫)
SPEC~翔~ (角川文庫)

SPACE BATTLESHIP ヤマト(2010年)

SPACE BATTLESHIP ヤマト監督・VFX:山崎貴
脚本:佐藤嗣麻子
原作:西崎義展
製作統括:信国一朗
企画:中沢敏明、濱名一哉
エグゼクティブプロデューサー:飯島三智、阿部秀司、市川南
プロデューサー:東信弘、山田康裕、石丸彰彦、安藤親広
音楽:佐藤直紀(原曲:宮川泰「宇宙戦艦ヤマト」「無限に広がる大宇宙」)
VFXディレクター:渋谷紀世子
VFXプロダクション:白組
映像制作:東宝映像美術
企画プロダクション:セディックインターナショナル
制作プロダクション:ROBOT
エンディング曲:スティーヴン・タイラー -「LOVE LIVES」
製作:「SPACE BATTLESHIP ヤマト」製作委員会(TBSテレビ・セディックインターナショナル・東宝・ROBOT・ジェイ・ドリーム・博報堂DYメディアパートナーズ・小学館・毎日放送・中部日本放送・白組・阿部秀司事務所・TBSラジオ&コミュニケーションズ・TCエンタテインメント・エフエム東京・東北新社・RKB毎日放送・北海道放送・JNN全28局)

出演:木村拓哉黒木メイサ柳葉敏郎、堤真一、西田敏行山崎努 ほか


 以前のエントリーで、「これからは貶さざるを得ない作品は最初から取り上げないことにする」とは書いたけど、ここまで酷い作品を見せられると、ブログに罵詈雑言書き並べて憂さを晴らさなければ収まらない。だから書いとく。

 私も、観る以上はどこかに良いところを探すよう努めているが、この作品には褒めるところが一切見つからなかった。

 全く重量感が感じられないヤマトが、何万光年という壮大な距離を、全く感じさせない旅をし、その艦内で、戦闘班長と称するそこらのアンちゃんと、ふてくされた女パイロットが、人類の運命が懸かっていることを他所に色恋沙汰に落ち、その合間に迫力もスケール感も無いテレビゲームのような戦闘を繰り広げて時間を潰す。この作品の説明はこれで充分だ。

 とにかく、のっけから拍子抜けするほど下手なナレーションでズッコケた。今まで聞いたこともないようなヘンテコリンな抑揚を付けたナレーションで、日本にこんな下手なナレーションする俳優がいたっけ?と別の意味でサプライズ。
 調べてみると、声の主はなんと、ささきいさお氏。彼もテレビアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』ではコンドルのジョーの声を担当するなど、一応声優の経験もあるのだが、ナレーションはお世辞にも上手いとは言えない。いくら『宇宙戦艦ヤマト』の主題歌を歌っていた人だからと言って、アニメイベントの余興じゃあるまいし、こんな下手なナレーションで映画の本編を開始するとは監督のセンスを疑う。

 そのセンスの無い監督とは『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの山崎貴だが、本当にあの名シリーズを監督した山崎貴なのか? 同姓同名の別人じゃないのか? あるいは、名前だけ貸して下の人間にでも撮らせたんじゃないのか? そう思ってしまうぐらい『ALWAYS 三丁目の夕日』と『SPACE BATTLESHIP ヤマト』との間には完成度において大きな落差があった。

 一番悪いのは脚本だろう。この作品は一種の戦争映画だと思うのだが、脚本を担当した佐藤嗣麻子の興味が、明らかに古代進と森雪との恋愛ばかりに向いていて、戦争映画ではなく、青春映画、あるいは恋愛映画として書いているのがありありと感じられた。所詮は女だ。もちろん、責任は脚本家だけにあるのでははなく、こうなってしまったのも製作者や監督の意向なのかも知れないが、私が監督なら、「ヤマトは戦争してるんだから、その辺もしっかり書いてよ」と百回でも書き直させるところだ。
 乗組員達はとても軍人・兵士とは思えず、女の割合も多過ぎ。舞台を学園や一般企業などからヤマト艦内に移し替えただけだ。キムタクも他の登場人物同様軍人ではなくそこらのアンちゃんだし、艦長に矢鱈反抗的。何でこんな人物が、艦の中枢で、戦闘という一番大事な仕事を指揮出来るのか? 最低限のリアリティさえ無視している。そのくせ、敬礼シーンは頻繁に登場する。限りなく軽々しく。敬礼させれば軍らしくなるとでも思っているのだろうか? この無能な脚本家には本当に落胆させられた。と言うより、もう一度言うが、所詮は女だ。

 女性を蔑視するつもりはないが、しかしそれでも、女に戦争映画の脚本が書けるわけが無いのだ。こういうところにも監督のセンスの無さが出ている。佐藤嗣麻子山崎貴は下積み時代からの仲間らしいのだが、その情実から彼女を脚本に起用したなら最悪だ。良い物を作りたいなら決してやってはいけない人選だ。 
 
 いや、この監督は良い物を作ろうなんて端から思っていなかったに違いない。「撮れと言われたから適当に撮っときました」というよなヤッツケ感がありありだ。
 山崎貴は、映画監督であると同時に、日本有数のVFXディレクターの一人でもあるのだが、この作品のチャチなCG映像を見ると、それが果たして正しい評価なのか?と疑ってしまう。少なくとも『ALWAYS 三丁目の夕日』で見せてくれたあの素晴らしい昭和の風景を作った人物ではない。
 VFX以外のシーンでも、地下都市の様子、司令長官の会見シーン、艦内の様子、全てにリアリティが無い。何も考えてない。考えてこの出来なら山崎貴は今日限り映画監督を辞めるべきだ。劇場映画の作り手が、たかがテレビアニメ以下のものしか作れないのか? 製作費だって何十倍も出てるだろうに。情けないと言うか、暗澹たる気分になった。

 とにかく最悪の駄作。それがこの『SPACE BATTLESHIP ヤマト』だ。山崎貴の無能ぶりを世間に知らしめた記念碑的作品だ。

にほんブログ村 映画ブログへ  





 
続きを読む

紅の豚(1992年)

紅の豚原作・脚本・監督:宮崎駿
製作:徳間康快、利光松男、佐々木芳雄
製作補:山下辰巳、高木盛久、氏家斉一郎
背景:男鹿和雄
作画監督:賀川愛、河口俊夫
原画頭:金田伊功
原画:近藤勝也、佐藤好春
美術監督:久村佳津
編集:瀬山武司
音楽監督:久石譲
声の出演:森山周一郎、加藤登紀子、桂三枝、上條恒彦、岡村明美、大塚明夫


 前世紀の宮崎駿作品はほとんど観てるけど、この作品は観てなかった。観たいとも思わなかった。なぜって、主人公が豚だしオッサンだし、あんまり面白そうに思えなかったんで。「外見は豚だけど、私の手にかかればこの醜い生き物が凄くカッコよくなるんだよ」と言いたげなのもイヤだった(ひねくれ過ぎ?)。
 しかし、せっかくテレビがタダで観せてくれるんだし、一回ぐらい観とくべきじゃないか? そう思って、公開から20年近くも経って初めて鑑賞する決意を固めたのだった。

 感想はと言えば、さすがに宮崎作品だけあって、それなりに面白い作品に仕上がっている。ポルコと他の登場人物達との会話が楽しい。多少、話が間延びしている嫌いはあったし、クライマックスも今ひとつ盛り上がりに欠けてはいたけれど、でもそれが、地中海という穏やかな舞台で、アニメらしいほのぼのとした雰囲気を醸し出しているのかも知れず、それはそれで良かったんだろう。

 宮崎アニメの売りである美しい背景画がこの作品でも堪能できた。青い海、青い空、白い雲、海辺の樹々と街並み等、画面の隅から隅まで美しい。中盤、ポルコの飛行機が雲の大平原にポツンと浮かび、はるか上空を飛行機群が一条の白い光の帯のように連なり飛んでいくシーンも幻想的で素晴らしいイマジネーションであり、この作品の中で一番良いシーンだと思う。宮崎アニメの名シーン・ベスト10に入れてもいいぐらい。

 宮崎作品は画面の向こうにいつも宮崎監督の顔が見えるのだけど、この作品はひときわ宮崎臭かった。何たって飛行機乗りの話だ。宮崎監督がクラシカルな乗り物が好きそうなことは、彼の作品に出てくるメカのデザインや、出てくる車に古い型のものが矢鱈多いのを見れば大体察しがつく。この作品の本当の主役は実は飛行艇かも知れない。ポルコの乗る赤い飛行艇、カーティスの青い飛行艇、その他カッコイイ飛行艇がいくつも出てくる。模型片手にニンマリしながら絵を描いている宮崎監督の姿が思い浮かぶ。「これは仕事じゃないよ、趣味だよ」と言ってたかも知れない。

 観ていて、ふと、昔読んだ松本零士の『戦場まんがシリーズ』を思い出した。松本零士も飛行機の部品を集める趣味がある。『紅の豚』の雰囲気はあの作品よりはるかに明るいが、松本零士も「男たるもの」を描くことにこだわりを持っていて、ポルコとカーティスの意地の張り合いは松本零士の漫画を読んでいるようだった(それは宮崎アニメによくあるパターンではあるのだけれど)。観ていてあまりに重なってしまったのだが、松本零士の作品から影響は受けていないのだろうか? あるいは、松本零士の作品は好きですか?と、一度本人に聞いてみたいところだ。 

 登場人物については、“空賊”達の悪党らしからぬキャラも親しみが持てるし、冒頭の幼女達はトトロに出てくるメイが一杯と言った感じで矢鱈可愛かった。
 ただ、マドンナ役であるジーナにあまり魅力を感じられなかったのが残念。美人に描けば魅力的に見えるもんじゃないということは作家なら分かっていると思うのだが、周りの男たちを半ば子供扱いしたセリフでそれをやったつもりなのか? いや、それじゃ足りませんよ、監督。彼女についてのエピソードがもうちょっと欲しかったところ。
 はっきり言うと、主人公ポルコも豚であること以外キャラとしてはイマイチ弱いかなと思った。よくこんなセリフ思いつくもんだと感心するほど、ポルコのセリフは洒落ているのだが・・・ハードボイルドと聞いて誰もが真っ先に思い浮かべるイメージ、例えば『カサブランカ』のハンフリー・ボガート等のイメージをそのままポルコに当てはめただけじゃないの?という印象だ。キャッチコピーは「カッコイイとは、こういうことさ。」だったが、それなら、事が上手くいった時に腕を突き上げたり、親指を立てたりといった陳腐なポーズを取らせるのはやめて欲しかった。カッコ良さを追求するならあのポーズはかなり方向違いだ。

 前半は、「何で豚なんだ?」「こんな豚人間を見て周りの人達は平気なのか?」という下らないことばかりが気になってストーリーを追い難かった。ポルコが豚の姿になっている理由も、「どうやったらあなたの魔法が解けるのかしらね?」というジーナのセリフから、魔法でそうなったんだろうことは分かったけど、結局最後まで説明は無かった。途中から「豚だから豚なんだ。もうそれでいいや」と、気にしないよう努めたが、こういう、話の基本に関わることは簡単にでもいいからどこかで説明してくれてもいいんじゃないか? 「豚になった理由がそんなに大事ですか?」「何でもかんでも説明しないといけませんか?」と言う人も少なからずいるし、彼が豚である理由が物語の核心でもないのだから別にいいのかも知れない。第一これは大人のための「ファンタジー」だ。だけれども、どこか人を食ったような姿勢を感じて、つい「よぉ、よぉ、宮崎よぉ~」と絡んでやりたくなるのだ。Wikipediaによると、「軍隊社会に嫌気がさしたため、自らに魔法をかけて豚の姿となった」らしいが、物語の中で説明しないのは反則だろうがよ、とまた絡みたくなるのでここらで止めておく。
 
 まあ、ケチをつけようと思って観ればいくらでもケチのつけようはある。それでも、上に書いたように、この作品がかなり楽しめる良作であるのは間違いない。最近のジブリ作品はあまり観てないけど、少なくとも2001年の『千と千尋の神隠し』までのジブリ作品は、高畑勲監督の『火垂るの墓』や『平成狸合戦ぽんぽこ』も含めてハズレ無し。楽しい時間をどうもありがとうとお礼を言いたい。

にほんブログ村 映画ブログへ  

【関連商品】
紅の豚 [DVD]
紅の豚[Soundtrack]
1/48 紅の豚 サボイア S.21
1/72 紅の豚 サボイアS.21F 後期型

大殺陣(1964年)

大殺陣2 池上金男脚本・工藤栄一監督による『十三人の刺客』に続く集団抗争時代劇とのこと。『十三人の刺客』は三池崇史監督による2010年のリメイク版だけしか観てないのだが、かなり面白かったという記憶はある(ほとんど残酷シーンしか覚えてないのだが)。この『大殺陣』についてネットで検索すると、なかなか辛口なレビューが多く、しかもそれらがいちいち「それはそうなんだけど・・・」というごもっともな意見で、あまり評価されていないようだ。しかし、クライマックスの五(実質四)対何十人の死闘は、もう何が何やら分からないのだけれど、『大殺陣』という看板に偽り無しの迫力あるシーンだし見ごたえがあって、私には楽しめた。ハンディーカメラを使って臨場感を感じさせる手法も当時としては斬新だったのではないか。

 神保平四郎を演じた里見浩太朗も、水戸黄門の助さんとは打って変わって、目を剥き血まみれで死闘を繰り広げ、凄惨極まる死に様を見せてくれている。昨日アップした『仇討』の中村錦之助同様、この人も今まで抱いていたイメージとは全く違っていた(アカンなあ、オレ・・・)。
 その他、子煩悩な貧乏御家人・星野友之丞(大坂志郎 )をはじめ、テロリスト一味でありながら大胆にも兄の亡骸を評定所に受け取りにいく別所隼人(河原崎長一郎)、頭のいかれたエロ坊主・日下仙之助(山本麟一)等々、一人一人にエピソードがあって物語に厚みを加えている(助七というどこから湧いてきたのか分からない人物も混じっているのだが)。
 
 平幹二朗演じるシニカルな御家人・浅利又之進も重要な役だったのだが、白状すると、最初観た時はその重要性が分からなかった。
 ラストで、殺された神保平四郎の姿を見た浅利又之進は激昂し、綱重を殺すわけだが、そのシーンがどうも取ってつけた感じで、物語の流れとして不安定な印象だった。そもそも浅利又之進はこの物語に必用だったのか? なぜ最後にああいうシーンをくっつけたのか?とさえ思っていたのだが、某サイトの解説に、この作品は安保闘争に影響を受けていると書かれてあって合点がいった。
 浅利又之進には、行動を起こさず傍観しているだけのノンポリ一般大衆が重ねられていたのではないか? 劇中、神保平四郎が浅利又之進に向かって言うセリフ「何もせんことが庶民にとってどれほど迷惑か、お主、考えたことがあるか」とは浅利又之進に対してと同時に、映画を観ている観客に投げかけられた言葉だったのかも知れない。平四郎はさらに「迷惑をかけずかけられず生きていればいい、というものではない。(俺のように)役職大事だった侍や、貴様のように世をすねて何もしなかった侍が専横の世を育てた」とも言っている。
 平四郎からそう言い放たれ、何も言い返せなかった又之進だが、最後には、衝動的にとはいえ、刀をとって綱重の一行に一人斬りかかっていく。脚本の池上金男としては、自分さえ良ければこの世なんて知ったこっちゃないと思っている庶民が立ち上がる姿をどうしても最後に入れずにいられなかったのではないか。そう考えなければ、あのラストはあまりに蛇足だ(キッパリ)。

 綱重は結局討たれたが、もちろんハッピーエンドではない。それは「正義」側が全員死んだからということもあるのだけれど、私自身の感想を言えば、死ぬのはいつも下の人間で、裏で絵を描く人間は最後まで表に出てこないことに何かやりきれないものが残ったからだ。
 若年寄・堀田正俊は証拠不十分でお咎め無し。
 首謀者・山鹿素行。こいつは「実行するのはここにいる六人だけ」と事も無げに言ってのけた男であるが、この男も遠くから事の成り行きを眺めているだけ。首謀者であることが露見したため徒では済まないかも知れないが、劇中では最後まで生きている。
 もちろん、実行犯である平四郎らは彼ら自身の意思で計画に参加したわけだけれど、兵隊は所詮ただの道具かよ?と思わざるを得ないような非情な計画には違いない。まるで神風特攻隊だ。
 池上・工藤の二人にそのつもりは無かったかも知れないが、私は大いにそれを感じてしまった。

 集団抗争時代劇と呼ばれる作品は、長谷川安人監督『十七人の忍者』に始まり工藤栄一監督によるオリジナル版『十三人の刺客』やこの『大殺陣』等何本かあるようで他の作品も観てみたいと思った。もしかしたら、この作品、オリジナル版『十三人の刺客』の焼き直しかも知れないのでそれを確認してみたくもあるし。
 
大殺陣1『大殺陣』(1964年)
監督:工藤栄一
脚本:池上金男
企画:松平乗道
撮影:古谷伸
音楽:鈴木静一
製作・配給:東映


【出演】
里見浩太朗 (神保平四郎)
大坂志郎 (星野友之丞)
山本麟一 (日下仙之助)
河原崎長一郎 (別所隼人)
稲葉義男 (渡海八兵衛)
砂塚秀夫 (助七)
平幹二朗 (浅利又之進)
成瀬昌彦 (岡部源十郎)
安部徹 (山鹿素行)
宗方奈美 (山鹿みや)
大木実 (北条氏長)
大友柳太朗 (酒井忠清)
可知靖之 (徳川綱重)
原田甲子郎 (堀田正俊)
加賀邦男 (林甚兵衛)
三島ゆり子 (神保加代)
尾形伸之介 (中島外記)
春日俊二 (小出治兵衛)
堀正夫 (新見但馬守)
園佳也子 (立田川)
赤木春恵 (星野たよ)

にほんブログ村 映画ブログへ  

【関連商品】 『仇討』同様、DVD化されておりません。東映さん、是非お願いします!!




仇討(1964年)

 下級武士である江崎新八(中村錦之助)が、些細なことから上級武士である奏者番・奥野孫太夫と口論、果たし状を突きつけられ、孫太夫を殺したことから、その弟・主馬に命を狙われ、それを倒すと、今度はまたその下の弟・辰之助を討手として仇討の願い書を出されるという、標的にされる方ににとっては気が変になってしまいそうな物語だ。

 中村錦之助(萬屋錦之介)という役者はテレビの『子連れ狼』ぐらいでしか知らず、かつて一世を風靡した時代劇スターぐらいの認識しか無かった。正直言うと、(錦之助に限らず他の時代劇スター達も)“顔の良さだけが売りの俳優”だと思っていた。この作品を観るまでは・・・。

 錦之助演じる江崎新八は下級武士でありながら武家社会の掟に忠実であろうとするのだが、しかし、死の恐怖を超越しているわけではない。普通の人間ならやはり怖い。主馬が自分を殺しにくると聞かされ、来たら知らせるよう百姓に頼む時の動揺した様子、いよいよ主馬がやってきて、恐怖を抑えヒイヒイ言いながら泣きそうな顔で主馬と対峙するシーン、そしてクライマックスの仇討シーンにおける死に物狂いの演技、どのシーンも錦之助にとっては物凄くカッコ悪いが、鬼気迫るものがあって、ただの二枚目俳優じゃなかったんだなあと感心させられる。
 また、この作品を観て、名作とそうでもない作品を分ける要素の一つに、人間をどこまでリアルに描いているか、ということもあるなあと思った。この作品にしても、「こういう時、人間はこういう反応をするんだろうなあ」という描写が実にリアルだ。それは取りも直さず今井正という監督の力なのだろうが、監督のイマジネーションを具現化し得た中村錦之助の演技力も素晴らしいんじゃないかと思う。

 そして、この作品、武士の世界というものは本当に理不尽な世界だなあと思わされる。出てくるお侍様達が悉く家や藩の体面だけに縛られている。究極の建前社会と言ってもいい。そんな社会の中で、新八が武士らしくあろうとすればするほど泥沼にハマっていき、やがて、討たれることしか道が無くなる。光悦和尚の「地獄極楽はこの世にある」という言葉通りだが、新八は地獄の方にハマってしまった。討手の辰之助から見ても、新八とは親しい間柄であったのに、武家社会の掟によってその新八と殺し合いをさせられるのだから地獄に違いない。この時代の侍なんかに生まれなくて本当に良かった。仇討場の周りに集まった町人や百姓達のほうが暮らしは苦しくてもよほど気楽そうでいい。

 物語は最初から最後まで理不尽と不条理の連続だが最後の最後もそうだった。辰之助にわざと討たれる覚悟を決めた新八が、いざ仇討場に来てみると、群衆が集まってまるで見世物会場のようになっているし、辰之助には六人もの助太刀がいる。新八の覚悟がぶち壊しにされている。これでもかこれでもかと理不尽な仕打ちを加えられ、新八はまるで急坂を転げ落ちるよう。「何でこうなるんだ!?」とこちらまで叫びたくなる気分だ。
 髪振り乱し必死に敵の攻撃をかわしていく新八。他のチャンバラ映画のように、涼しい顔で敵をバッサバッサなんてことはない。まさに死に物狂い。実際の仇討もこんな感じじゃなかったのかと思わされるほどで、今井正のリアリティに徹した演出が光っている。観てない人は是非本編を観て欲しい。文章が下手で上手く書けないが、この辺りの錦之助の演技がとにかく凄まじいので。
 やがて血まみれになって絶命し地面に倒れる新八。この絶命に至るまでのシーンも相当凄い。カラーでなくて良かった。色がついていたらこの無惨な姿は相当ショッキングだろう。
 
 観終わっても後味の悪さが残る作品だが、名作と言われる作品はやはり凄い。時代劇は時代劇で、色んな味の作品があり、チャンチャンバラバラばかりではないんだなと思い知らされた。そして、中村錦之助という名優の発見。食わず嫌いで今まであまり観てこなかったが、これからは他の作品も観ていこうと思う。

仇討『仇討』(1964年)
監督:今井正
脚本:橋本忍
製作:大川博
音楽:黛敏郎
編集:宮本信太郎
製作:東映京都
配給:東映

出演:中村錦之助、田村高廣、佐々木愛、神山繁、丹波哲郎、石立鉄男、加藤嘉、三津田健、三島雅夫、田中春男、信欣三、三田佳子、進藤英太郎、小沢昭一

【関連商品】残念ながらDVDは発売されていないようです。これほどの名作なのだからDVD化して欲しいものです。

にほんブログ村 映画ブログへ  

幕末太陽傳(1957年)

 BSプレミアム『山田洋次監督が選んだ日本の名作100本』も今年で2年目。今年度のテーマである「喜劇編」の幕開けを飾る作品として『幕末太陽傳』が放映された。

 山田監督は、番組開始に先立って放送された『2年目は喜劇編!50作品発表』という番組の中で、前年度の「家族編」に続くテーマがなぜ「喜劇編」なのか?という問いに、「今の時代、みんな笑いたがっているのに、喜劇映画が少ないから」と答えている。

 そして、幕開けに選ばれたのが、この『幕末太陽傳』なのだが、笑いと同時に、この世をしぶとく生きる人間達の逞しさがこれでもかこれでもかと詰め込まれた傑作だった。

 主人公の居残り佐平次(フランキー堺)は、結核を患っていていつ死ぬか分からない境遇だが、それに落ち込むことなく、持ち前の才覚を活かして周りを手玉に取り、したたかに生きている。彼だけではなく、女郎のおそめ(左幸子)、こはる(南田洋子)やその他大勢の登場人物達が、みんな転んでもタダでは起きなさそうな逞しさを持ち非常に魅力的だ。高杉晋作(石原裕次郎)ら幕末の志士達も日本を変えてやるというエネルギーに溢れている。観ていると、負けてはいられないというパワーが湧いてくるような、そんな作品だ。まさに『『幕末“太陽”傳』だ。
 居残り佐平次がラストで、「嘘こいてると地獄さ落ちねばなんねえど」と呼び止める杢兵衛に、「地獄も極楽もあるもんけえ。俺はまだまだ生きるんでえ!!」と叫んで走り去っていく姿は実に頼もしい。監督の川島雄三は監督昇進の頃から筋ジストロフィーという難病に冒され、この作品が公開された6年後に他界されたそうだが、多くの解説にあるように、やはり「死んでたまるか!」という生への執着を佐平次に込めたのだろう。「つまらんことで悩んでちゃいけないよ」という川島監督の声が聞こえてきそうだが、自ら難病に冒されているのに、それを説教臭さ無しに笑いの中で伝えられる川島監督の大きさまで感じてしまう。
 山田監督がこの作品をスタートの1本に選んだのは、こういうパワーを感じ、それを自分のものとしてもらいたいという思いもあったのではないだろうか?

 落語を下敷きにしているらしいが、出典を知らなくても全く関係なしに楽しめる。とにかく一人でも多くの人に観ていただきだい。きっと凄いエネルギーを貰うことが出来るだろう。

幕末太陽傳『幕末太陽傳』(1957年)
監督:川島雄三
脚本:田中啓一、川島雄三、今村昌平
製作:山本武
撮影:高村倉太郎
音楽:黛敏郎
美術:中村公彦、千葉一彦
録音:橋本文雄
照明:大西美津男
風俗考証:木村荘八
特殊撮影:日活特殊技術部
監督助手:浦山桐郎、遠藤三郎、磯見忠彦

出演:フランキー堺、左幸子、南田洋子、石原裕次郎、金子信雄、山岡久乃、梅野泰靖、岡田眞澄、小沢昭一、芦川いづみ、菅井きん、西村晃、二谷英明 、小林旭、

【関連商品】 幕末太陽傳 デジタル修復版 Blu-ray プレミアム・エディション

 にほんブログ村 映画ブログへ 


砂時計(2008年)

砂時計1 人にお勧めできるかどうか大変迷ってしまう作品だ。
 島根県の風景が美しく撮られており、出演する夏帆や岡本杏理も凄く可愛い。
 しかし、前半は救いようがないほど退屈。監督が雰囲気作りのみに夢中になっていて観ている者のことを考えてないように思える。私は夏帆ちゃんのファンだから我慢して見続けたが、そうでない観客に対してはどう落とし前をつけるつもりか。脚本も監督自身が書いているのだからもう少し考えて欲しかった。
 後半、松下奈緒が出てくる辺りから少し面白くなったし、最後まで見れば胸うつものがある作品だけに惜しい。


砂時計[DVD]『砂時計』(2008年)
監督・脚本:佐藤信介
原作:芦原妃名子
エグゼクティブプロデューサー:濱名一哉
製作:加藤嘉一、亀井修
プロデューサー:久保田修、武田吉孝
共同プロデューサー:長松谷太郎
撮影監督:河津太郎
美術:斎藤岩男
音楽:上田禎
音楽プロデューサー:安井輝
主題曲・主題歌:いきものがかり

出演:夏帆、松下奈緒、 池松壮亮、井坂俊哉、塚田健太、岡本杏理、伴杏里、倉科カナ、高杉瑞穂、戸田菜穂、風間トオル、藤村志保

【関連商品】砂時計 スタンダード・エディション [DVD]

 にほんブログ村 映画ブログへ 


日本列島(1965年)

 吉原公一郎の『小説日本列島』を原作とし、GHQの強大な権力の下で暗躍する謀略機関の不気味さと、それに翻弄され、虫けらのように殺されていく人々の姿が描かれている。

 キャノン機関を思わせる謀略集団、下山・松川・三鷹事件、BOACスチュワーデス殺人事件等、戦後の混乱期に実際に起こった謎の事件が盛り込まれているが、メインとなっているのは、戦中、陸軍登戸研究所で偽札作りに使用されたというザンメル印刷機だ。

 米軍基地の通訳主任秋山(宇野重吉)は新任のポラック中尉から、1年前東京湾で水死体となって発見されたリミット曹長事件の調査を依頼される。その過程で、ザンメル印刷機の存在を知り、また、背後に謎の謀略機関が蠢いていることを突き止めていく。しかし、その秋山も・・・。

 謀略機関の手先となって暗躍する涸沢(大滝秀治)という人物が不気味だった。安っぽいアクション映画の親分のように「この件から手を引け。そうしないと命は無いぞ」みたいな脅しはかけてこない。それでも彼らにとって邪魔な人間は一人一人必ず消されていく。下手なホラー映画よりよっぽど怖かった。

 もっと怖いのは、彼らが日本で何をしようとしていたのかが全く分からないことだ。同じようなテーマで松本清張にも『日本の黒い霧』や『黒い福音』という著作があるが、これらの作品を観たり読んだりしても、彼らがこの国で具体的に何をしようとしていたのかよく分からない。裏から工作し、日本を米国の世界戦略に加担させていたのだろうということがぼんやりと想像できるぐらいだ。分からないから余計不気味だし、怖い。しかも舞台は昭和34年の日本。とっくに独立を果たした後でさえ、まだ米国が日本の中で秘密工作をしていたのだろうか。

 我々には到底太刀打ち出来そうにない相手への恐怖、宇野重吉演じる秋山はそれでも執拗に幽霊の正体を暴こうとしたが、結局殺されてしまった。黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』でも、巨悪に挑んだ主人公は殺された。オープニングの、火に焼かれる虫達の姿は実に象徴的だ。彼らにとって人間の命はこの虫けら共と同じ重さでしかないのだろう。我々虫けらは結局巨大な悪の前に沈黙するしかないのだろうか? 暗澹たる気分になる映画だった。

 この作品は、『帝銀事件 死刑囚』で監督デビューした熊井啓がその翌年に撮った作品で、巨大な権力に押し潰される個人を描いており、前作と共通する。しかし、作品としてはこちらの方がはるかにスケールが大きく重い。是非一度観ていただきたい。

日本列島『日本列島』(1965年)
監督・脚色:熊井啓
原作:吉原公一郎
企画:大塚和
撮影:姫田真佐久
美術:千葉和彦
音楽:伊福部昭

出演:宇野重吉、二谷英明、鈴木瑞穂、芦川いづみ、大滝秀治、武藤章生、佐野浅夫、内藤武敏、加藤嘉、他

【関連商品】日本列島 [DVD]

 にほんブログ村 映画ブログへ 


プロフィール

Blik

Author:Blik
作品や監督、俳優等について深い知識は持ち合わせておりません。ハッキリ言えばニワカですので私の評はアテにしないでください。また今日も頓珍漢なこと書いてやがんなあ、ぐらいの感じで読むのが丁度良いかと思います。

最新記事
カテゴリ
検索フォーム
リンク
最新コメント
月別アーカイブ
最新トラックバック
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
PR
NHK 金曜ロードSHOW! 日曜洋画劇場 水曜プレミアムシネマ BS11 ホタルノヒカリ 愛と誠 臨場 劇場版 苦役列車 おおかみこどもの雨と雪 ヘルタースケルター ベティ・ブルー 海猿_BRAVE_HEARTS 日活100周年邦画クラシックス ボノロン 浅草花やしき こども商品券
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。