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女王蜂(1978年) 主演:石坂浩二

女王蜂 1976年公開の『犬神家の一族』は空前の横溝正史ブームを巻き起こし、『犬神家の一族』から1981年の『悪霊島』まで、5年の間に計9本の金田一映画が製作されました。特に、犬神大ヒット直後の1977年には、4月に『悪魔の手毬唄』(東宝)が公開され、わずか4ヶ月後に『獄門島』(東宝)、そしてそのわずか2ヵ月後には松竹が『八つ墓村』を公開、そしてまたわずか4ヵ月後の1978年2月にこの『女王蜂』(東宝)が公開されるといった具合で、このペースを見ただけでも、そのブームがいかに凄かったが窺い知れます。ブームの凄さはペースだけではなく、1979年1月、東映が『悪魔が来りて笛を吹く』を公開したことで、東宝、松竹、東映の大手3社がみな金田一映画を作ったことになる点を見ても言えると思います。金田一物は劇場映画だけでなく、テレビでもTBS系列で横溝正史シリーズとして連続ドラマが放映されましたから、それまで入れたら犬神以後何本の金田一映画・ドラマが作られたのやらと言った感じです。
 
 そんな横溝正史ブームの中で作られた『女王蜂』は、出演者の顔ぶれがやたら豪華なことでも話題でした。『犬神家の一族』の高峰三枝子、『悪魔の手毬唄』の岸恵子、『獄門島』の司葉子、と過去3作の犯人役大女優が勢揃い。松竹が『八つ墓村』で対抗してきたことで、それ以上のものを作るんだという意気込みが感じられます。が、この時点で既に4本もの金田一物を見せられていると、少なくとも私は、マンネリを感じずにはいられませんでした。そろそろ限界かと判断したのか、東宝もこれ以後金田一映画を作っていません。つまり、この作品が石坂浩二金田一耕助を演じた最後の作品となったのです(もっとも、1996年に豊川悦司で『八つ墓村』を作ったり、2006年に金田一耕助石坂浩二以外のキャストを変えただけで1976年のとほぼ同じ『犬神家の一族』を作ってたりしますが)。
 
中井貴惠 私が『女王蜂』という映画で一番印象に残っているのは、この作品でデビューした中井貴惠です。当時、中学生でしたが、この人の清楚な美しさにはチュウボーながら惹きつけられたもんです。カネボウ化粧品とタイアップしていたらしく、姉が化粧品屋から貰ってくる同社の化粧品パンフレットやCMなどにも登場していて、胸をキュンキュンさせながら見てました。
 ドラマティックなテーマ曲も大好きで、当時NHK-FMの映画音楽番組でエアチェック(死語?)した『女王蜂のテーマ』は今でも大事に取ってあります。聴くたびに音楽と中井貴惠の美しさが重なってウットリした気分にさせられました。いえ、「させられる」と言ったほうが正確でしょうか? 未だにそうですから。

女王蜂のテーマ』
YouTubeにありました。何度聴いても飽きないですねえ、この曲は。
作・編曲の田辺信一さんをWikipediaで調べてみたんですが、詳細なデータがありません。作品もそれほど多くないし、ご存命なのかどうかさえ分からない。広大なネットの海を探してもWikiの記述と似たり寄ったりです。
もしかして、誰か有名な作曲家の変名なのかな?と思ったりもします。田辺信一さんについてご存知の方がいらっしゃいましたら教えていただければ幸いです。




『女王蜂』(1978年)
原作:横溝正史
監督:市川崑
脚本:日高真也、桂千穂、市川崑
音楽:田辺信一
撮影:長谷川清
照明:佐藤幸次郎
美術:阿久根巌
録音:矢野口文雄
編集:小川信夫、長田千鶴子
製作・配給:東宝
出演:石坂浩二、岸恵子、司葉子、高峰三枝子、仲代達矢、中井貴惠、萩尾みどり、沖雅也、加藤武、大滝秀治、神山繁、小林昭二、伴淳三郎、三木のり平、草笛光子、坂口良子

  


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ア・ホーマンス(1986年) 主演:松田優作

過去を、記憶すら持たない自由な男が欲望と暴力に満ちた都会に現れた時、何かが起こる…。
人気漫画を基に松田優作が初メガフォンをとったハードアクション。新宿に現れた“風(ふう)さん”と呼ばれる男と、はみ出しヤクザとの間に生まれた奇妙な友情を衝撃的な暴力シーンを交えて描くハードボイルド・ドラマ!(映連データベースより。リンク先に粗筋もあります)

ア・ホーマンス いやあ、たまげたなあ、最後は・・・
 「こ、こ、こ、こんなんアリ~~!?」って、ビックリした後に笑いがこみ上げてきました。映画は全てのシーンがラストに繋がっていると何かで読みましたが、“風さん”の行動を最初から思い出した時、こういうラストならあのシーンもあのシーンもあのシーンも全て合点がいくというものです。
 まあ、観たことない人は観てみてください。観た後で怒りがこみ上げてくる人、「これはこれでいいんじゃない?」と思える人、「素晴らしい、画期的だ!!」と思う人、どう受け止めるかは観た人の自由ですから。
 
 私自身は「これはこれでアリかも」派です。

 というか、ラストなんてどうでもいいんです。これは男と男の友情の物語。松田優作石橋凌、野性味溢れる二人の男の固い絆を描いた映画です。核心はあくまでそこですから。
 山崎(石橋凌)のためならどんな危険にも飛び込んでいく風(松田優作)、山崎も最初は風の変な魅力から近づいたものの、やがて絶大な信頼を寄せるようになる。ヤクザの幹部が風に対しては敬語さえ使うのです。風が山崎を守ろうとする姿は友情を飛び越えて愛情さえ感じさせます。ラストの問題点一つで駄作扱い出来る作品ではありません。

 それに、優作の初監督作品ということですが、光るものがあると思いました。
 (この映画は東映とキティの共同製作ですが)東映のヤクザ物やアクション物と言えば、分かり易さ第一主義みたいなところがあって演出面にはあまりこだわらないところがありましたが、この作品では演出もかなり凝ってます。夜の歓楽街や風俗店の中などかなり雰囲気が出てましたし、ポール牧がヒットマンを殺すシーン、山崎を逃亡させた子分の口をカミソリで裂くシーン、山崎の恋人を犯した後のシーンなどのリアリティはそれまでの東映作品にはあまり無かったように思います。『その男、凶暴につき』の時の北野武監督、この映画にかなりインスパイアされたんじゃないのかな?とさえ思いました。

 音楽も良かったですね。しっかりと場の雰囲気を表現した音楽が作られてます。この面でも優作は色々注文を出したようで、音楽プロデューサーのところに名前があります。
 
 尚、この作品、当初は小池要之助って人が監督を務める予定だったのですが、優作と意見が合わず、自ら降板したそうです。調べてみたらかなり不遇な人みたいで、テレビドラマもそれほど多くないし映画となると1本きり。本人は劇場映画を撮りたがっていたようですが・・・この監督について凄く興味が湧きました。

YouTubeでワンシーンを見ることが出来ます→ア・ホーマンス(プレビュー)

ARB - AFTER '45
ア・ホーマンス』エンディング曲です


ア・ホーマンス(1986年)
原作:狩撫麻礼たなか亜希夫
監督:松田優作
脚本:丸山昇一、松田優作
音楽:奈良敏博、羽山伸也
撮影:仙元誠三
照明:渡辺三雄
美術:今村力
録音:宮本久幸
編集:冨田功
主題歌:『AFTER '45』(作詞・作曲:石橋凌 編曲・歌:ARB サウンドトラック盤:ビクターレコード)
出演:松田優作石橋凌手塚理美、片桐竜次、平沢智子、剛州、梅津栄、伊藤洋三郎、加藤善博、ポール牧石橋蓮司小林稔侍阿木燿子、ジャンボ杉田

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俺達に墓はない(1974年) 主演:松田優作

ムショ帰りの島勝男は、弟分のヒコと暴力団のノミ屋の金庫を襲撃。ところがなんと、覆面の先客がいた!追手の組員に同じ覆面姿のヒコが捕らえられる。島は先客の男がアジトの安バーに出没していた滝田栄一だと知る。激烈なカー・チェイスの後、二千万円入りのバッグを奪い合って、二人はお互いの力量を認め合い仲間となった。アジトへ戻った島は、転がり込んでいたミチがシャブ中であることを知る。島を求めるミチ。島はミチに惚れているヒコを思ってミチをはねつける。ヒコ奪回へ向かった島と滝田はダイナマイトで暴力団と闘う。救出されたヒコは、二千万円強奪の真犯人への復讐を叫ぶ。それが目の前にいる滝田だとも知らずに…。
暴力団の賭博バスを襲撃した島と滝田は、六千万円強奪に成功し逃亡する。一方、ヒコはミチに迫って拒まれたことからミチと島がデキたと邪推し、島への憎悪に燃えるのだが…。(映連データベースより)


俺たちに墓はないかつて、漫画原作者・小池一夫が言いました、「マンガはキャラクターだ!」と。この作品『俺たちに墓はない』を観て映画も同じだなと思いました。松田優作岩城滉一志賀勝竹田かほりが実に魅力的な人物を演じてます。キャラクターの面白さだけで退屈せずに最後まで見られました。

 当時、優作は遊戯シリーズの真っ最中でしたが、『殺人遊戯』と『処刑遊戯』の間に公開されたとのこと。遊戯シリーズと違って、この作品は殺し屋が主人公じゃないため、主人公を鳴海昌平とは出来ず、遊戯シリーズの1篇には入れられなかったものと思われます。監督も違いますし。
 前半は、優作と志賀勝のおかしなコンビが送る抱腹絶倒のドタバタアクションて感じ。決してハードボイルドではありません。大胆な計画をユーモラスに実行、やることなすこと、笑えます。

 途中、ピンクレディの『カメレオンアーミー』『ジパング』、甲斐バンドの『ヒーロー』などがバックに流れてて、当時から狙ってたはずもないのですが、時代を経た今のオッサン世代が見ると胸にキュンとくるシーンもあります。岩城滉一がインベーダーゲームやってたり。時の移ろいは早いものだなあとしみじみ。余談ですが、志賀勝さん、この作品での年齢設定は36歳とのこと。私より一回り以上、下ですよ。ハー(溜息の音ね)。

 にしても、この作品の優作はサングラスが好きですね。日本で一番サングラスが似合うのは松田優作だと前々から思ってはいましたが、ことあるごとに優作がサングラスをかけるシーンが挿入されてます。だからといって銭湯の中でまでかけるかよ?って部分はありますが、あのサングラスも何かの象徴なんだろうけど、頭の悪い私にはその意味など分かろうはずもなく、「サングラスかっけえなあ、優作」とホレボレ見てるばかりなのでした。

 あと、竹田かほり。前に書いた『処刑遊戯』には森下愛子がマドンナ的な役回りで出てたけど、こっちでは、森下さんのお友達の竹田かほりさんが出てました。この人、顔はどっちかって言うとチンチクリンなんですが、妙に可愛いとこあって、それがこの作品での役柄とピッタリでした。地で演じてます、多分。日頃からあんな人だと思います、多分。竹田さん、この後はテレビドラマの『探偵物語』にも出演されてますね。やはり評判良かったんだと思いますよ、多分。

 ところで、竹田かほり扮するミチが自分の立場を説明するシーンで「派遣店員だった」と言ってますね。派遣て昨日今日の言葉じゃなかったんですね。この時代から既にあったんですね。勉強になりました。

 この作品でも、優作が上半身裸のシーンがあります。遊戯シリーズと違って、この作品での優作の体が妙に普通なのが意外でした。遊戯シリーズでは肉体鍛錬のシーンで優作の体は結構筋肉の浮き上がったマッチョな感じだったのに、この作品では普通でした。遊戯シリーズでは事前に相当体を作って撮影に臨んでたんだなってことが伺えます。

 この作品、都会の日陰の世界といいますか、優作のネグラが所謂悪所のド真ん中にあったりするのですが、私にとってそれが最大の魅了でした。優作の居場所はそういう場所でなければいけません。優作が銃器を調達する場所が大人のオモチャの店だったり、岩城滉一のやってる飲み屋なんか壁にピンクレディーとか某ストリップ劇場のポスターがベタベタと貼ってあるのですが、そういう下世話な部分が私には堪らないのです。優作は間違っても小市民的な世界の住人であっちゃいけない。世間とは一線を画した、普通の人が見たら眉をしかめるような、こんな場所に生きてこそ、私ら普通の人間は優作に憧れるんだと思います。
 
俺達に墓はない』(1974年)
監督:澤田幸弘
企画:黒澤満、伊藤亮爾
脚本:田中陽造
助監督:崔洋一
出演:松田優作岩城滉一志賀勝竹田かほり森下愛子(友情出演)

  

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悪魔が来りて笛を吹く(1996年) 主演:稲垣吾郎

稲垣金田一 映画版『悪魔が来りて笛を吹く』を観たので、稲垣吾郎金田一耕助を演じているテレビドラマ版の『悪魔が来りて笛を吹く』(2007年フジテレビ『金曜プレステージ』)もライブラリーから引っ張り出して久しぶりに観直してみました。
 原作を読んだことが無いのでどちらが原作により忠実なのか知りませんが、話はテレビ版のほうが遥かに分かり易いですね。ただ、その分雰囲気は無くなってます。この物語の核は泥々の人間関係だと思うんですが、そこもテレビ放映を配慮してか最小限の表現に留められ、実に淡白な感じでした。
 稲垣吾郎金田一耕助は嫌いじゃないけれど、どこか石坂金田一の物真似をしてるように感じられ、しかも時々妙に演技が浮いているのが残念です
あと、小夜子役の高橋真唯が可愛くて良かった。2004年デビューですか。頑張って欲しいです。応援してます。


悪魔が来りて笛を吹く』(1996年)
演出:星護
原作:横溝正史
脚本:佐藤嗣麻子
企画:荒井昭博、和田行、後藤博幸
プロデューサー:稲田秀樹、川上一夫
音楽:佐橋俊彦
イラスト提供:杉本一文(角川文庫刊『悪魔が来りて笛を吹く』表紙挿画)
制作:フジテレビ、共同テレビ

出演:稲垣吾郎国仲涼子成宮寛貴、伊武雅刀、螢雪次朗、銀粉蝶、野波麻帆、高橋真唯、渡部豪太、浜丘麻矢、浜田晃、岸博之、木下ほうか、山田スミ子、小日向文世、塩見三省、秋吉久美子榎木孝明


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悪魔が来りて笛を吹く(1979年) 主演:西田敏行

 金田一耕助物の中ではちょっと不人気かな?という作品ですが、その理由は、金田一役が西田敏行だからかもですね。石坂金田一よりコミカルな面を強調した金田一像ですが、石坂金田一があまりにもハマっていたため、「他の俳優さんじゃあなあ・・・」という人が多いのかも知れません。
 もう一つ、戦後の元子爵家で起こる事件なので、舞台となる屋敷がバタ臭くて金田一物の大きな魅力である和のテイストが乏しいということもあるかも知れません。
 しかししかし、この『悪魔が来りて笛を吹く』は金田一物の中でも上位にくるべき名作ではないかと私は思うのです。
 金田一物の大きな特徴は“血縁が引き起こす悲劇”ですよね。その要素に関してはこの作品が一番濃いです。と言うか、もうドロドロのベッチョベチョ! ショッキングでさえあります。ネタバレしちゃいけないので詳しくは書けませんが、全てはあの家の人々の淫蕩な血が招いた悲劇なのです。
 インモラルな話が好きな人にはイチオシですので是非観てみて下さい。
 尚、観る時には中盤で説明される人間関係をしっかり頭に叩き込んでおくことをお勧めします(恐らくメモが必用です)。あの部分を曖昧にしたままだと後半の衝撃は味わえません。

『悪魔が来りて笛を吹く』(1979年)
製作:角川春樹
企画;角川春樹事務所
原作:横溝正史
プロデューサー:橋本新一
監督:斎藤光正
脚本:野上龍雄
音楽:山本邦山
音楽プロデューサー:四方義朗
テーマ曲「黄金のフルート」(フルート演奏:植村泰一)
主題歌「旅行く者よ」(作詞;山上路夫 作曲:山本邦山 編曲今井裕 歌:榎本るみ)

出演:西田敏行、夏八木勲、斉藤とも子、仲谷昇、鰐淵晴子、宮内淳、二木てるみ、池波志乃、原知佐子、山本麟一、石濱朗、村松英子、小沢栄太郎、梅宮辰夫、浜木綿子、北林早苗、中村玉緒、加藤嘉、京唄子、中村雅俊、三谷昇、藤巻潤、秋野太作、横溝正史、角川春樹

『悪魔が来りて笛を吹く』~黄金のフルート
凄く好きな曲です。


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処刑遊戯(1979年) 主演:松田優作

あらすじはこちら

 以前に書いた『最も危険な遊戯』とは違って純然たるハードボイルド作品になってますね。鳴海(松田優作)のコミカルなシーンも一切無し。優作、ひたすらクールで無口な殺し屋に徹してます。コミカルな面も見せる優作、徹底的にクールな優作、どっちがいいかは人それぞれの好みでしょう。私自身は時々面白い優作が好きです。
 『最も~』にもありましたが、途中、鳴海が体を鍛えるシーンがありまして、こういうシーンは燃えますね。なんか、オレもやれば優作みたいにハードボイルドな体になれるかな?なんて。で、実際やっちゃうんです、馬鹿ですから。かなり締まりましたよ。あ、こんな話はどうでもいいですね。
 本格的なハードボイルですから銃を取り扱うシーンもかなりリアルです。銃器の専門家を呼んで撮ったらしいです。弾丸も自分で作ってたりして銃マニアには堪らないシーンじゃないでしょうか?
 鳴海を組織に引き込む謎の女として出演しているのはシンガーソングライターの「りりぃ」。1974年の大ヒット曲「私は泣いています」はあまりに有名ですね。恐らく多くの人が彼女に対して持っているであろうイメージのままで登場してます。とにかく雰囲気のある人です。芝居はあんまり上手くないかな?とも思ったのですが、まあ、あの独特の雰囲気だけあれば十分ではないでしょうか? 他にあまりいませんもんね、代わりになるような人が。
 ストーリーの区切りごとに鳴海が寄る時計屋の女主人、ストーリーには全く絡まずに登場するのですが、この女主人を演じているのが森下愛子。前年の『サード』や、にっかつロマンポルノ『もっとしなやかに もっとしたたかに』で注目され始めた頃でしょうか、とにかく彼女の演技が初々しくて実に可愛いです。陰鬱なストーリーの中の癒しの時間といった感じで、鳴海ばかりでなく私もホッと出来ました。
 全体敵には面白く観ることが出来ました。前半、回想シーンが混ざって多少分かりにくい部分もあるのですが、2回観れば大丈夫です。ハードポイルドな雰囲気を味わいたい人にはお勧めです。

処刑遊戯』(1979年)
監督:村川透
脚本:丸山昇一
撮影:仙元誠三
音楽:大野雄二
出演:松田優作りりィ青木義朗佐藤慶森下愛子

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ひとごろし (1976年) 主演:松田優作

 こんなカッコ悪い優作は見たことないです。
 犬を怖がって前に進めないし、暴れ馬に驚いて買ったばかりの饅頭をそこらにぶちまけてしまうし。普段の優作なら、表向きこんなだけど、いざとなったら強い・・・はずなのですが、この作品の優作はどこまでも臆病者です。元々顔の作りは可愛い人ですから臆病者の役も似合うっちゃあ似合うし、優作だけあって臆病者の演技も上手いのですが。特に、加納(岸田森)が仁藤昂軒(丹波哲郎)に斬られ、藩のお偉方が上意討ちをするための相談をしている時、自分が行くかどうか一人迷ってブルブル震えているシーンなど思わず吹き出してしまいます。
 コメディー映画という感じじゃないのですが、とにかく、優作はカッコ悪くコミカルに描かれてます。ただ、あまりに卑屈過ぎやしませんかと。昂軒に向かって「ひとごろし~」と叫ぶのですが、まるで子供が苛められっ子をからかうような言い方です。昂軒が堂々とした立派な人物に描かれているだけに優作扮する双子六兵衛の憎たらしさが強調され昂軒が気の毒でなりませんでした。(監督の思う壺ですかね?)
 あと、最後で、切腹しようとする昂軒を押しとどめる辺り、妙にカッコよく喋ってしまう優作はどうなんでしょう? それはこの作品でのアンタのキャラじゃないっしょ?と私などは思ってしまいました。最後の最後までカッコ悪いままで終わっちゃいけなかったんですかね? それじゃファンが許さないだろうと製作会社の偉い人が思ったのかも知れませんが。とにかく、「優作らしく」なっちゃったラストはしっくり来ませんでした。

『ひとごろし』(1976年)
監督:大洲斉
脚本:中村努
原作:山本周五郎
製作:永田雅一
出演:松田優作、丹波哲郎、岸田森、五十嵐淳子、高橋洋子
製作:永田プロ、大映、映像京都
配給:松竹

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叫(さけび) (2006年) 主演:役所広司

 この作品、画面に映る風景がいちいち美しくて大好きな映画です。劇中の言葉を借りるなら「壊すでもなく作るでもない」、工事関係の物しか見えないような酷い埋立地がなぜか美しく見えます(カメラマンの腕なんでしょうか?)。吉岡(役所広司)の部屋は古い団地ですが、中はすごくオシャレに改造されています。インテリア雑誌の写真のようなオシャレさではありません。配線は剥き出しだしだし玄関はいかにも団地の鉄扉だしその上の古臭い分電盤も剥き出しです。でも窓枠の形や大きな柱、段差のある床等のおかげか凄く美しく見えます。自分の部屋も同じように改造できないかと思うほど。警察署の中も雑然としているのに美しい、オダギリジョーがいるカウンセリング室も壁が剥げてボロボロなのにやはり美しいのです。
 そういう美しい舞台の中で話は淡々と進んでいきます。殺人や幽霊の出現等、派手なシーンはあるのですが、事は実に静かに起こり、独特の神秘性を感じさせています。
 話は少し分かりにくいかな?と思いました。私は3回観てやっと理解できました。
 人によって評価が分かれるかな?と思ったのは葉月里緒奈の幽霊でしょうか? 幽霊が空を飛んで去っていくところなどはゲラゲラ笑いながら見る人もいるかも知れませんが、微妙なところでシュールな恐怖を保っています。
 私の中では、間違いなく名作の部類に入るホラー映画です。是非一度観ていただきたいと思います。
 
『叫(さけび)』(2006年)
監督・脚本:黒沢清
撮影:芦澤明子
製作:東京放送、エンタテインメント・ファーム、エイベックス・エンタテインメント、オズ、日活
出演:役所広司 、小西真奈美、葉月里緒奈、伊原剛志、オダギリジョー、他

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最も危険な遊戯 (1978年) 主演:松田優作

 いよいよ始まりました。緊張します。スタートの一本、何の映画について書くかかなり迷いましが、私の好きな松田優作の主演作から始めようかと思います。
 最初は『最も危険な遊戯』。1978年、あの『人間の証明』の翌年に撮られた作品です。しかし、『人間の証明』のように金のかかった映画ではなく、監督の村川透と共に、低予算でどれだけ海外のハードボイルドに迫る作品を作れるかに挑戦した意欲作だそうです。映画はヒットし、シリーズ化、『殺人遊戯(1978年)』『処刑遊戯(1979年)』と計3本の『遊戯』が製作されました。

 さて、感想ですが、映画はわかりやすさが第一ですね。監督が変なところで自己主張せず、素直に単純に娯楽映画として楽しめる。私はそういう映画が好きです。そんな意味でも、『最も危険な遊戯』は私が好きな映画の1本です。
 優作扮する鳴海は普段は等身大(かソレ以下)の人間。が、いざ仕事となると、冷酷非情に、且つ冷静に、淡々と不可能とも思える仕事をこなしていく。変身した後の優作がとにかくカッコイイです。素直に憧れの対象として見ることが出来ます。
 純然たる娯楽映画なのだから、優作のカッコ良さを味わえればそれでいいのですが、それでも、「ここ、もうチョットどうにかならなかったかな?」と思ってしまう部分が無いわけではありません。
 例えば、最初から最後まで鳴海(優作)が写ってないシーンは無いと言っても過言でないぐらい鳴海ばかり写してて、敵=東日電気会長小日向の強大さが表現されていないように思います。だから、小日向がどれだけ怖い奴なのかの実感が持てない。鳴海が足立の暗殺に向かう時「お願い、行かないで」と泣いて引き止める杏子を見ても、それまでの鳴海の超人的な活躍だけを見せられてきた者にとっては、「鳴海にとっちゃ朝飯前の仕事だろ?」としか思えず悲壮感が湧かないのです。それが話の盛り上がりを欠く結果に繋がったように思えます。
 また、鳴海が、何をキッカケに杏子に愛情を感じるようになっていったのかもハッキリ描かれていないため、杏子が連れ去られた時に、優作が、ジーパン刑事再びといった感じで、どこまでも走って追いかけるという行動が凄く唐突に見えるし、車の中で悪徳刑事たちに押さえつけられながら「来ちゃダメ」と泣きじゃくる杏子の姿も浮いてしまってます。
 しかし、至らぬ点は目につくものの、この映画はそんな部分にツッコミを入れながら観る映画ではないのでしょう。それは野暮というもの。動く優作が見られればいいのです。私はこの手の映画を「動くブロマイド」と呼んでいます。昔のチャンバラ映画もそうです。

 あとは蛇足。冒頭の麻雀屋のシーンに柴田恭兵が出てます。サングラスをしているので分かりにくいのですが、よく見ると柴田恭兵です!!
 刈谷俊介や阿藤快も出てます。面白いシーンを見つけました。Wikipediaによると、刈谷俊介は「石崎」という役名を与えられているはずなのですが、後半で、悪徳刑事達が杏子を車で拉致し逃げるシーンで、荒木一郎扮する桂木警部が、運転する刈谷に向かって「刈谷」と呼びかけています。聞き間違えかと思ってもう一度見てみたのですが確かに「刈谷」と呼んでました。荒木さんのうっかりミスだと思われますが、スタッフの皆さん、気付かなかったのでしょうかね?(笑)

『最も危険な遊戯』(1978年)
監督:村川透
脚本:永原秀一
音楽:大野雄二
出演:松田優作、田坂圭子、荒木一郎、内田朝雄

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Blik

Author:Blik
作品や監督、俳優等について深い知識は持ち合わせておりません。ハッキリ言えばニワカですので私の評はアテにしないでください。また今日も頓珍漢なこと書いてやがんなあ、ぐらいの感じで読むのが丁度良いかと思います。

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