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新幹線大爆破(1975年)

新幹線大爆破 3 うちにインターネットが開通して数年が経ちますが、ネットを見るようになってビックリしたのは、この『新幹線大爆破』が、自分で思っていたより遥かに多くの人々に支持されているということです。某巨大掲示板を私が見始めた時、既にこの作品についてのスレッドはあり、それ以後も絶えることなく立ち続け、恐らく、私と同年代かそれ以上の年代のオッサン住民達が中心でしょうが、結構な盛り上がりを見せています(もう話すことも無いのか、最近は少々過疎気味ですが)。

 しかし、この作品も、公開時は散々な客入りだったようで、製作費がやっと回収出来る程の興収しか無かったそうです。人気が出始めたのは、テレビ放映されたりレンタルビデオが出始めてからで、徐々に知名度と評価を高めていったのですが、その評価は海外の方がより高いと云うことにも驚かされました。私が初めて観たのも、確か高校(もしかしたら中学生だったかも)の頃、テレビ放映された時で、かなり面白いと思って観た記憶はあります。

新幹線大爆破 1 そういうこともあって、前々から、「これはもう一回観ておかなければならない作品だ!」と思っていたことに加え、前回のエントリーが高倉健主演の『遙かなる山の呼び声』ということで“健さん繋がり”の作品について書きたいということもあって、今回二度目の鑑賞となった次第です。

 久々に観終わっての感想は、確かに面白い。面白いけれど、今観れば、ご都合主義な点やツッコミ所も多く、また、国鉄の協力が得られなかったため、多くの部分を特撮でカバーしなければならなかったのですが、その特撮が見るからにオモチャといった具合に、問題点は多いです。ただ、それらは、私の中では、作品の面白さを邪魔するほどのものではありません。
 問題点は他にあります。今一つ何かが足りない・・・


新幹線大爆破 7

 「新幹線が時速80キロ以下に減速したら爆発する」というアイデアは凄いと思います。後にハリウッド映画『スピード』にパクられたのも頷けます。
 なぜ自分が「今一つ何かが足りない」と感じたのか、その「今一つ」の部分とは何かを自分なりに考えてみるに、それは、「新幹線の爆破を止めること」それ自体に関わる話が乏しい点だと思います。新幹線の外の話に尺を取りすぎているのです。
 爆破ターゲットが走行中の新幹線ということは、爆弾が客室に無ければ、新幹線内部の人間にはもう事件解決のために活躍する場はありません。単なるパニックシーンの盛り上げ要員です。国鉄司令部や警察等、新幹線の外にいる人間を活躍させるしか無いのですが、その外の人間でさえ、爆破を回避するためには、爆弾の外し方を犯人に教えてもらうしか無いと言うのですから、こうなると、犯人側がいかにして金を受け取るか、警察がいかにして犯人を逮捕するか、という方向にしか話を展開させられません。そして、実際、本作も、尺の多くがそちらの方に費やされています。

新幹線大爆破 2 でも、これでは、別に「新幹線大爆破」である必要ありませんよね? 大誘拐でもいいじゃないですか。せっかくの凄いアイデアなのに、結局は普通の犯罪ドラマと同じようにしか話を展開させられていないのです。
 「他の新幹線が故障して109号の進路上に止まっている」というアクシデントを挿入するなどして、精一杯新幹線に絡んだスリルを付け足してはいます。が、爆破回避に至るまでの間、新幹線に関わるそれ以外の見せ場は、新幹線の台車を写真撮影しようとするところと、救援車を並走させて走行中の新幹線から新幹線にボンベを受け渡すシーンぐらいのものです。
 結局は、新幹線の爆破阻止という面では、溶接機で床に穴を開け、爆弾に繋がったコードをニッパーで切るだけという、見栄えのしないアッサリとした決着の付け方で終わってしまいます。


新幹線大爆破 5 ところが、(以下はあくまで私の推察、いや勘繰りですが)怪我の功名と言うべきか、上述の展開が、この作品を「新幹線大爆破を阻止する物語」に終わらせず、図らずも「哀しみを背負った男たちの物語」という一段高いレベルにまで引き上げたんじゃないかと思います。
 この作品、犯人側のバックストーリーを挿入して、犯人達の境遇や犯行に至るまでの経過、心情などを説明しているのですが、そういう話を挿入したのも、新幹線大爆破を阻止するための直接的な物語の部分が希薄で、それだけでは持たないとの判断から、枯れ木も山の賑わいとばかりに入れたのではないか?と私は勘ぐっています。でも、それが枯れ木ではなかったのです。

新幹線大爆破 8 会社が潰れ、妻子にも逃げられた男・沖田。何かに失望して学生運動から脱落した古賀。そして、売血で生きながらえていたところを沖田に拾われ恩義を感じている若者・浩。奇妙な連帯感で結ばれた三人の負け犬が互いに支え合って生きています。そこに漂う哀愁が、負け犬であるはずの彼らを妙にカッコよく見せています。犯行の動機は金か? 憂さ晴らしか? 恐らくそれら全てを含んだ勝利を渇望する心みたいなものでしょう。何か巨大なものを相手に勝利してみたい、という心が、絶望の反動のように、静かながらも、沸々と、彼らの中に沸き出しているのが感じられます。ハリウッド映画では、往々にして、犯人が単純な悪党かサイコパスだったりするのですが、この作品では犯人側にも、それなりの深い人格を与えています(故に、犯罪映画にも関わらず、この作品には悪党が一人も登場しません)。
 それがあるために、この作品がただのパニック・エンターテイメントで終わらずに済んだように思います。

 ただし、より評価が高いという海外では、これらの部分がごっそりカットされ、単純でハリウッド的なパニック・エンターテイメントとして上映されたようです。日本でも、上述の部分は不要だという声は少なからずあります。

新幹線大爆破 4


新幹線大爆破 6 「新幹線が時速80キロに減速したら爆発する」というアイデアも素晴らしいものですが、爆破回避した後、警察が、犯人をおびき出すために行う工作も秀逸なアイデアです。更に、ラストで、犯人・沖田の顔を知らない警察が、空港の客の中から沖田を見つけ出すためにあることをするのですが、そのアイデアも、同時に悲しみを誘うような飛び切り上等なものだと私は思います。この作品、新幹線大爆破を回避するまでより、回避した後の方がよく出来てます。

 忘れてならないのが音楽。作・編曲:青山八郎。一部には、メロドラマのBGMみたいだと揶揄する声もありますが、スキャットから始まるこの美しい音楽は、犯人達の哀しみを表現する上で大きな効果を上げています。私は名曲だと思ってます。ちなみに、スキャットの主は、『アルプスの少女ハイジ』の主題歌でもお馴染みの伊集加代子さんだそうです。


 尚、今日のエントリーを書くにあたって、一応、YouTubeで予告編も見てみました。予告編では多岐川裕美や志穂美悦子の名前がデカデカと掲げられていますが、ほとんど詐欺です!! 観た方なら分かりますよね? でも、この作品、本当に豪華キャストです。しかも随分贅沢な使い方をしています。多岐川さん、志穂美さんも、その例です。誰がどこに出ているか、その辺を探しながら観るのも楽しいですよ。 

『新幹線大爆破』予告編



『新幹線大爆破』(1975年)
監督:佐藤純弥
脚本:小野竜之助・佐藤純弥
原案:加藤阿礼
音楽:青山八郎
撮影:飯村雅彦
編集:田中修
製作・配給:東映

出演:高倉健千葉真一宇津井健山本圭郷鍈治、織田あきら、竜雷太宇津宮雅代、藤田弓子、多岐川裕美、志穂美悦子、渡辺文雄、福田豊土、藤浩子、松平純子、久富惟晴、青木義朗、千葉治郎、原田清人、浜田晃、中井啓輔、山本清、矢野宣、近藤宏、田中浩、中田博久、林ゆたか、横山あきお、浅若芳太郎、植田峻、松野健一、田島義文、田坂都、十勝花子、片山由美子、風見章子、佐伯赫哉、岩城滉一、小林稔侍、片岡五郎、滝沢双、佐藤和男、岡本八郎、黒部進、相川圭子、山下則夫、山本緑、志村喬、山内明、永井智雄、鈴木瑞穂、北大路欣也、川地民夫、田中邦衛、丹波哲郎、他

YouTubeでも有料配信されてるのを発見!!YouTube『新幹線大爆破』

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嗚呼!!花の応援団(1976年)


監督:曽根中生天使のはらわた 赤い教室
脚本:田中陽造俺達に墓はないセーラー服と機関銃
原作:どおくまんプロ
企画:成田尚哉
製作:三浦朗
撮影:山崎善弘
美術:柳生一夫
音楽:コスモスファクトリー

出演:今井均、香田修、深見博、坂田金太郎、堀礼文、高瀬将嗣、檀喧太、伊佐山ひろ子、宮下順子、安部徹、放駒、水原ゆう紀



 イイなあ、この下らなさ、この馬鹿馬鹿しさ(笑)。決して上等なコメディではないのだけれど、B級臭さや関西独特のユル~イ雰囲気が全編に漂っていてイイです。

 「一回生はゴミ、二回生は奴隷、三回生は人間 そして四回生は神様!!」

嗚呼!!花の応援団1 いやいや、凄まじい世界です(笑)。マゾじゃないと気がおかしくなるでしょう。極道社会でもここまではやらないよな?というぐらい、上下の規律を最大限誇張して面白おかしく描いてます。

 原作は言わずと知れたハチャメチャ漫画。この漫画を初めて知ったのは中学生の頃。ませたクラスメートが教室に持ち込んできた単行本を読んだのが最初でしたが、読むなり、あまりの面白さにすっかり虜になってしまいました。私の中で『がきデカ』がその王座を明け渡した瞬間でした。でも、それ以来、テレビで大学の応援団を見ても、この漫画の滅茶苦茶なシゴキを思い出して、応援団員の皆さんに少なからず同情を覚えるようになったのですが・・・。

嗚呼!!花の応援団5 上にハチャメチャ漫画と書きましたが、ハチャメチャと言っても、時々ジワリと涙を誘うような物語もあって、そういうところが人気の一つだったのですが、この作品でも、前半は先輩後輩の無茶苦茶な主従関係で笑わせながら、後半では、青田赤道とお新さんの別れや、富山の失恋で泣かせてくれて、見事にその部分を拾い上げてます。
 特に、富山の失恋は切なかった。売春婦・初江(水原ゆう紀)に恋をしてしまった富山(香田修)が、初江に会いに売春宿へ行くと邪険に追い払われる。富山はそれでも窓の下から初江に応援コールを送る。その声を聞きながら客に抱かれる初江の頬に涙が流れるというラストシーン。それはもう実に演歌な世界ですが、私、こういう湿っぽい世界が嫌いではありませんで、やっぱり泣いてしまいました。
 嗚呼、曽根中生監督も脚本の田中陽造氏も『嗚呼!!花の応援団』という漫画の真髄を理解した上で実写化してるんだなと嬉しくもなりました。
 
嗚呼!!花の応援団2 ただ、主人公・青田赤道のキャラが弱過ぎなのが惜しかった。原作の青田赤道はほとんど人間の顔をした怪獣でしたが、その怪物的な強烈さが感じられず、この手の作品には欠かせない“熱気”を削いでしまってるように思います。まあ、演じた今井均さんて方は、公募で選ばれたズブの素人で、とにかく芝居が下手だし弾けた演技も出来ませんから仕方ないのかも知れませんが。

 あの当時は主人公を公募で選んだ映画って結構ありましたね。多くは話題作りの為だったのでしょうが、少なくともこの作品に限っては予算削減の為という切実な問題だったんじゃないかなあという印象です。画面は見るからに低予算な絵ですしBGMも極端に少なかったし。

嗚呼!!花の応援団4 青田赤道役の今井均だけでなく他の出演者達も、この作品がデビュー作だったり、『嗚呼!!花の応援団』シリーズしか出てない人が多い所を見ると、出演者の半分以上を公募採用で賄ったんじゃないでしょうか? もう一人の主人公とも言える富山も、北口も、他の出演者も全員芝居があまり上手ではなかったです。坂田金太郎や堀礼文のようなプロの俳優さんも混じっていたし、富山役の香田修や北口役の深見博(現・深見亮介)などはこの作品後も俳優業を続けてはいるのですが・・・イマイチでした。
 とにかく、田中陽造の脚本はそれほど悪くないのに、役者達の芝居下手が原因でかなり雰囲気を盛り下げてます。それが逆にユル~イ雰囲気を醸し出してて別の味を出してたりするんですけどね。

嗚呼!!花の応援団3 あと、この作品に出演した皆さん、今、どうしてるんだろう?と調べてみたんですが、色々ですね。俳優続けてる人もいるし、政治家になった人もいます。南河大応援団長・木村を演じられた坂田情児さん、リーダー長・柏原を演じられた堀礼文さんは物故されたようです。一回生・村上を演じられた高瀬将嗣さんは、元々父君が高瀬将敏という有名な殺陣師ということで、その後、殺陣師、アクションコーディネイターとなり、『嗚呼!!花の応援団』平成版では監督も務められたとのこと。一番面白かったのは、浪華大応援団長・角木を演じられた神戸誠さん。当時は少林寺拳法の学生日本一だったそうですが、現在はゴルフのトップシニアアマとして活躍されてるそうです。

【参考】
LD DVD & Blu-ray GALLERY
しねま from はうす with らぶ
プロカメラマン内田眞樹のだいたい日刊Uchida Times
フリー百科事典Wikipedia

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作品とは全く関係無いのですが、『河内のオッサンの唄』
あの頃、私のクラスではよく流行ってたので


サード(1978年)

サード2 「ホームベースとは一体何だ!?」とサードが呟く。
 ホームベースとは・・・人生のゴール? あるいは生きる目的とか目標とか、そんなものだろうか? 自分の中で考えてみるに、やはり私にだってホームベースは見つからない。と言うか、そんなこと考えたことも無い。多くの人が、ホームベースがどこか分からないけれど、なんとなく走り続けてるんじゃないだろうか? 

 退屈極まりない少年院の生活。頭を丸められ、ダサイ制服を着せられ、意味があるのかどうかも分からない規律に縛られ、面白くもない労働をしながら送る毎日。見ているこちらまでウンザリしてくる。だからと言って、外の世界なら生き生き出来るのか?

 サードは、オシから「君には希望があるのか?」と聞かれて、「やりたいことならあるよ」と答えるが、オシは「私の希望は私には退屈だ」と言う。何かの文学作品の一文なのだろうか、「牢屋にいる時、私は時々世界を美しいと思った」と続けるサードに、オシは「その後には『自由になるとまた倦怠を感じた』と続くんだよ」と返す。
 この世にあるのは“終わりなき日常”だけだ。オシにはそれが耐えられなかったらしい。脱走し、自ら命を絶った。これが彼のホームベースだった。

 サードは、少年院に護送される途中で出くわした、祭りの光景を見て軽い興奮を覚える。
「死んだような俺の町とは違う」
そこに非日常を見たのだろうか。
「来年の9月、少年院を出たらここへ走ってこよう。ここは“9月の街”だ」

 しかし、そこが、ただ通り過ぎるだけで、ホームベースでないことは知っている。人間は一生走り続けなければならない。IIBのような軟弱者はヘトヘトだ。
「走れよ、自分の速さで」
生きている限り走り続けなければならない。チームは組めない。自分の人生は一人で走らなければならない。

 それを知っているサードは私より大人だ。



サード1 地味~~~~な作品だ。
 娯楽性に乏しく、少年院に慰問(?)に来る女たちを少年たちが妄想の中で犯したり、森下愛子が裸になってなかったら、最後まで観なかったかも知れない。
 だが、退屈に見えるシーンの数々を「乗り越えて」ラストシーンにたどり着いた時、作り手のメッセージがはっきり伝わってくるという点で秀作の一つには違いない。
 ラストで延々と走り続けるサード、これがこの作品の全てを象徴しているように思う。

 あと、芝居しているように見えない人が多く出ている。素人だろうか? 役者達も、会話やディスカッションのシーンでは、映画的な喋り方じゃなくいかにも普通の喋り方をしている。まるでドキュメンタリーを見ているようだ。東陽一監督はドキュメンタリー作品からスタートしているが、そういう雰囲気を使ってリアリティーを高める効果を狙ったものだろうか? ご本人に聞いてみないと分からない。

 最後まで分からなかったのは浴衣の少女の意味。経血の流れる足のアップまで撮っていたから何かを表現していたのだろうが、私には分からなかった。いつもと違う出来事を表現しているんだろうか? いや、分からない。


サードDVD『サード』(1978年)
原作:軒上泊『九月の町』
監督:東陽一
脚本:寺山修司
音楽:田中未知
撮影:川上皓市
照明:上村栄喜
美術:綾部郁郎
録音:久保田幸雄
編集:市原啓子
配給:日本アート・シアター・ギルド 
製作:幻燈社、日本アート・シアター・ギルド

出演:永島敏行、吉田次昭、森下愛子、志方亜紀子、島倉千代子、内藤武敏

【関連商品】
九月の町
サード [DVD]

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天使のはらわた 赤い教室 (1979年)

 “にっかつロマンポルノ”の名作ということで観てみました。

赤い教室1 エロ本出版の仕事をしている村木(蟹江敬三)は、1本のブルーフィルム(今で言う無修正AVみたいなもの)を見て、そこに出演している女に恋をします。なんとかその女に会いたいと思い続けていた村木は、偶然にもその女・名美(水原ゆう紀)を見つけ出します。

 しかし、ブルーフィルムは、実際にレイプしている現場を撮ったもので、その後の名美の人生は大きく狂わされていました。名美は心が荒み、男というものを信用しないばかりか憎しみさえ抱く女になっていたのです。村木は己の赤心を吐露します。エロ本の出版をやっていることも話しました。村木の心は通じました。名美は自分の名前を教えます。

「名美・・・土屋名美」

 人生を破壊された女と陽の当たる場所を歩けない男、境遇に恵まれない二人の心が一瞬だけ結びつきます。しかし、それは本当に一瞬でした。

 明日改めて会って欲しいという村木の言葉を信じ、約束の場所で待つ名美でしたが、村木がやってこないのです。村木は、以前使ったモデルが未成年だったことで警察に捕まっていたのでした。

赤い教室2 裏切られたと思った名美は、酒場で知り合った男とラブホテルに入り、精を吸い尽くさんばかりに男を貪ります。まるで男を喰うモノノケのようです。しかしそれは、性欲の昂りからではなく、男をいたぶっているのだなということが伝わってきます。これが彼女流の男への憎しみのぶつけ方なのでしょう。オマエなんかどうせこの程度のもんだろ?と言ってるようにさえ見えます。

 搦め捕られてしまった男もいます。“マーちゃん”と呼ばれ、Barブルーでオカマのバーテンをさせらている男も、名美と知り合わなければドブ水の中を這い回るような人生は送っていなかったことでしょう。名美によって地獄に引きずり込まれたのでした。呪い殺せるものなら全ての男を呪い殺したい。名美の体からはそんな負のオーラが沸き立っています。

 村木と再会する名美ですが、もう村木を受け入れる気配はありません。

 毒を喰らわば皿までとばかりに、名美の行動は、自分から地獄へ地獄へと突き進んでいってるようにも見えます。マーちゃんとの白黒ショーのシーンは、この作品の最大の見せ場でしょう。腐った世界を見てしまいました。ショッキングでした。

 しかし、ラストでは希望が見えました。「行こう、オレと一緒に」と、腐った世界からの脱出を促す村木に「来る? あなたが」とはぐらかす名美。なおも説得する村木。水たまりに映った名美の顔が悲しそうです。心が葛藤しているのです。もしかしたら、もう一度村木を信じるかも知れない。そして、村木と一緒にそこを出ていくかも知れない。私はそう感じました。そうあって欲しいです。 


 名作と言われるだけあって、物語はちゃんと作られてました。“にっかつロマンポルノ”だけあって濡れ場が散りばめられてますが、それはポルノだからではなく、セックスが無いと成り立たない物語だからであり、そういう類の物語もあるんだなと認識させられました。
 一本のブルーフィルムが女の心をここまで荒廃させてしまうのか、他に道は無かったのか、名美という女を見ていると、こちらの心までどんよりと澱んでいきそうです。ロマンポルノでこんな陰鬱な気分にさせられるとは思ってもいませんでした。名作です。

石井隆1 原作は、この作品で脚本も書いている石井隆の劇画。映画監督としても有名ですが、ご存知のように、創作活動のスタートは劇画からです。とにかく絵が上手い方でした。大友克洋か石井隆かってぐらい上手いです。調べると、一番最後の単行本は旧作を収めた『名美・イン・ブルー』で2001年の発行です。もう描いてないのかな? 勿体無いです。高校時代から映画関係のサークルで活動したり、その後、映画会社で助監の手伝いのバイトもしてたようだから、元々映画の方をやりたかったのかも知れませんが。にしても、才能豊かな方ですね・・・羨ましいです。


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赤い教室3天使のはらわた 赤い教室』 (1979年) 
監督:曽根中生
脚本:石井隆、曽根中生
原作:石井隆
出演:水原ゆう紀、蟹江敬三、あきじゅん、水島美奈子、堀礼文、河西健司、草薙良一、影山英俊


野性の証明(1978年) 主演:高倉健

オープニングナレーションより
「陸上自衛隊では、特に能力と精神力に優れた隊員を選抜して、各方面隊総監部直属の特殊工作隊を編成している。特殊工作隊の目的と実態は完全な極秘事項とされているが、その訓練は常に実戦が想定され、想像を絶するばかりに苛烈である。例えば、この山岳行動訓練では、どことも知れぬ秘境地帯に隊員を単独で残して、所定の目的地まで到着することが要求される。たとえそれが、一ヶ月の行程であっても、携帯食料は三日分と限定され、あとは全て自給自足で、一般住民との接触は絶対厳禁である。
言わば、特殊工作隊員は人間能力の限界点を超えることを要求され、数万年前の原始人の持っていた能力、つまり、飢え、孤独、自然の猛威や野性の生物と闘う力を持たねばならない。今、味沢一等陸曹達が降り立った地点は日本のチベットと言われる青森、岩手、宮城3県にまたがる広大な北上山地の、どことも知れぬ原生林の真っ只中である。」


野性の証明3国家権力により比類ない殺人技術を叩き込まれた男が、暴力によって不幸に陥れた一人の少女の中に、自らの人間性の回復を託そうとする。だが、その少女さえも奪われた時、男に残されたのは、全身を駆け巡る闘いの血だけだった。暴力の持つ悲しい矛盾性の中で、人間の尊厳と愛を証明しようとした男のハードな生き様が鮮烈に描き出される!薬師丸ひろ子鮮烈デビュー作!! 高倉健が男の野性を爆発させる壮絶なバトルアクション大作。
映連データベースより)

製作:角川春樹
原作:森村誠一
監督:佐藤純彌
脚本:高田宏治
音楽:大野雄二
撮影:姫田真佐久
照明:熊谷秀夫
美術:徳田博
録音:紅谷愃一
編集:鍋島淳
出演:高倉健、中野良子、薬師丸ひろ子、夏木勲、ハナ肇、梅宮辰夫、舘ひろし、原田大二郎、成田三樹夫、松方弘樹、北林谷栄、田中邦衛、山本圭、金子信雄、芦田伸介、田村高廣、丹波哲郎、三国連太郎
主題歌:「戦士の休息」(作詞:山川啓介 作・編曲:大野雄二 歌:町田義人)


 『野性の証明』です。薬師丸ひろ子のデビュー作です。

 「お父っちゃば殺さないでけれ!!」

 薬師丸ひろ子の映画の中での第一声がこれでした。このセリフから彼女の女優人生が始まったのか、と思うと感慨深いものがあります。東北弁が上手でした。

野性の証明1 劇場公開時から現在に至るまで、『野性の証明』という作品名が出ると、「おまえはサンドバッグか?」と言いたくなるほど、とにかく叩きまくられる作品でもあります。
 まあ、分からんでもありません。最初から最後まで、これほどツッコミ所の多い作品は珍しいですから。しかし、それでも私はこの作品が好きです。決して薬師丸さんのデビュー作だからと言う訳ではありませんよ、決して、決して。
 
 これほどツッコミ所の多い作品は珍しいと書きましたが、同時に、これほどハッタリの利いた作品も珍しいと思います。“お祭り感”とでも言いましょうか、たとえコケオドシと言われようが派手で景気のいいシーンがふんだんに盛り込まれていて、この熱気は他社作品ではそうは味わえないのではないでしょうか。金持ちのボンボンの道楽と映る面も無きにしも非ずですが、そんなことは観客の私にはどうでもいいことです。
 当時、“映画界の風雲児”と呼ばれ飛ぶ鳥も落とす勢いだった角川春樹氏。順風満帆、向かうところ敵ナシ、そんな角川さんのオラ、オラ、オラ~~~!!と言わんばかりの強気が、いい方向に作用しているなと私は思うのです。
 
 いいところはまだあります。音楽です。角川作品への罵倒は腐るほど聞きましたが、角川映画の音楽を貶す声はあまり聞いたことがありません。主題歌・主題曲だけはホントにイイですよね、角川映画は。町田義人が歌う『戦士の休息』は映画主題歌の名曲として定番ですし、オープニングの『野性への序曲』は聴くたびに燃えます。この曲、味沢達のいる山小屋に向かって、22名の特殊部隊員達がヘリから降下してくる、クライマックスの始まりとも言えるシーンにも使われてますね。

「俺達が助かる方法は、3つしか無いと思う。この演習は3日間続くはずだ。その間中どこかへじっと隠れているか、演習地の外へ逃げ出すか、あるいはあの22名を倒すかだ」

 味沢がこう言うやいなや、『野性への序曲』をBGMにヘリから降下してくる特殊部隊員達。何度観ても鳥肌モノのシーンです。そして怖かったです。OPの過酷な訓練を見た人なら分かってもらえるはずです、大場の手下どもとはレベルが違うヤツらが次々と降りてくるんです!!
野性の証明2

 ・・・ところが、この特殊部隊員達はいとも簡単に味沢達に倒されていきます。味沢に倒されるならいいですよ、松方弘樹扮する皆川二等陸佐から「Ajisawa is a best Commando!!」って言われるぐらいの隊員だったんですから。でも、戦闘訓練など受けていない北野刑事にまでやられるって何なんですか?「お、おまえら、能力と精神力に優れた特殊部隊員じゃないのかよ!?」って言いたくなります。トホホです。(あ・・・言っちゃった、悪口!!)

 まあ、この際ですからもう一つ言ってしまいます。
 自衛隊を辞め、今は保険外務員として働いている主人公・味沢(高倉健)は、最初、おいらん淵で死んだ井崎明美が保険金詐取の目的で殺されたと見て動いています。
 一方、越智朋子(中野良子)は、それとは別に大場一成(三國連太郎)率いる大場帝国の不正を暴くために動いています。
 その前に、ある部落で村民皆殺しという全然別の事件があり、刑事・北野(夏木勲)は味沢が犯人だと睨んで動いています。
 自衛隊は自衛隊で、特殊部隊を辞めた味沢を要注意除隊者として監視し、別の角度から話に絡んでくる。
 と言った具合に、それぞれの登場人物が全然別の方向に向かって一斉に動いていて、それを整理するのが大変です。
 しかも、前半、味沢と朋子の敵は大場一族だったのに、クライマックスでは大場のことなどどこかに行ってしまって、敵は自衛隊特殊部隊に変わってしまいます。大場のことはどうなったのか、最後まで説明がありませんでした。
 その最後(最後の最後)にしたって、味沢の敵は自衛隊特殊部隊であって自衛隊全体ではないはずなのに、味沢が銃をぶっぱなしながら向かっていく先にいるのはどう考えても普通の自衛隊です。この点がどう考えても分かりません。
 
 と悪口も書いてしまいましたが、再度言っておきます。
 私はこの作品が大好きです!!


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20. WINTER GLORY
21. 白いアルカディア*「WINTER GLORY」C/W曲

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プロフィール

Blik

Author:Blik
作品や監督、俳優等について深い知識は持ち合わせておりません。ハッキリ言えばニワカですので私の評はアテにしないでください。また今日も頓珍漢なこと書いてやがんなあ、ぐらいの感じで読むのが丁度良いかと思います。

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